ラヴラ ラヴラの概要

ラヴラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/30 21:10 UTC 版)

パレスチナエリコに創設されたギリシャ正教の初期のラウラ、「ドウカのラウラ」(4世紀)は、現在は誘惑の修道院として受け継がれている。現在の建築物自体は19世紀に再建されたもの[1][2]

語源となる古代ギリシア語Λαύρα(ラウラ)は、細い通路や幅の狭い小径という意味であった[2][4]。そして、ユダヤ砂漠で隔絶した洞窟や小部屋に住み週のほとんどを独居生活を送り修道を行う東方教会の隠修士たちの隠修様式を指していた[5][6]。週末の土曜日は小部屋や洞窟の中心部に設けられたリフェクトリー英語版共同の食事を取ると、また小部屋や洞窟に戻り祈りを中心とした「悪魔と戦う」独居生活に戻った[6][7]。隠修士たちは独居生活の間に手工芸品の制作も手掛けており、週末はその完成品を届け、新たな材料を得る機会でもあった[6]。当時のラウラは共同体というより、コミュニティに近いものだった[6]

アトス山は当初「独住」の修道形式を受け継いだが、徐々に共住修道の修道院形式に移り変わっていった[6]

この原義から転じて、ロシア正教会ウクライナ正教会における大きな規模・高い格式を示す称号として修道院名に付される用法や、アトス山におけるメギスティス・ラヴラ修道院ギリシア語: Μονή Μεγίστης Λαύρας)のように固有名詞の一部となる用法がある[3]

修道形態

修道形態としては、個人で砂漠や森に入って行う隠遁修道と、修道院で共同作業を行いつつ集団で生活する集団修道の間に位置づけられる。ラヴラでは修道院長は存在するが、普段は個々人で生活しつつ、主日などの教会の祭日には聖体礼儀のために聖堂に集まるという形態がとられる[3]

聖大エウシミオス(聖大エウフィミイ、473年没)がラヴラをパレスティナに5世紀に創建したのがラヴラ制のはじまりとされる[要検証][3]

ラヴラの名・格式を持つ修道院一覧

年代は創建年。[8]

正教会

東方典礼カトリック教会


  1. ^ This monastery was built into the Mount of Temptation, where Jesus was said to have been tempted by the devil”. aleteia.org. 2022年7月22日閲覧。
  2. ^ a b CATHOLIC ENCYCLOPEDIA: Laura”. www.newadvent.org. 2022年7月22日閲覧。
  3. ^ a b c d "The Blackwell Dictionary of Eastern Christianity" Wiley-Blackwell; New edition (2001/12/5), p294, ISBN 9780631232032
  4. ^ Henry George Liddell, Robert Scott, A Greek-English Lexicon, λαύρα”. www.perseus.tufts.edu. 2022年7月22日閲覧。
  5. ^ Christie, Douglas E. "The Judean Desert Monasteries in the Byzantine Period by Yizhar Hirschfeld(review)," Journal of Early Christian Studies 3, no. 4 (1995): 505-507. doi:10.1353/earl.0.0054.
  6. ^ a b c d e Holy Land | Christian History Magazine” (英語). Christian History Institute. 2022年7月22日閲覧。
  7. ^ 桑原直巳 (2006-03-25), 初期修道制における「独住」と「共住」の問題について, 筑波大学哲学・思想学系, doi:10.15068/00134586, https://doi.org/10.15068/00134586 2022年7月22日閲覧。 
  8. ^ 教会組織名は五十音順、修道院の並びは年代順。


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