ランチェスターの法則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 10:15 UTC 版)
経営学への応用
フォルクスワーゲンのセールス戦略
フォルクスワーゲン社は製品を他社と競争販売を行う場合、自社占拠率が40%を超える地域を1つ獲得することを最初の目標とし、同時に他社占拠率が40%を超える地域は後回しにする40パーセント・コントロール主義と呼ばれる経験則を販売戦略としていた佐藤84(p196)。
この「40%」という数字の根拠をランチェスターの二次法則を応用した数理モデルで説明することができる佐藤84(p196)。具体的には二次法則では考慮されていなかった兵士の補給(フォルクスワーゲンの文脈はセールスマンの補給)という概念を導入し、さらに作戦による自軍の損耗も考慮した連立微分方程式
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ランチェスターの法則の式を見ると、もし初期の兵員数を変えることができないとしたら、勝つためにはを増やす、つまり性能のよい武器を使うことが重要であることがわかる。しかし、それ以上に大切なのが、製品ライフサイクルの段階によって、第1法則と第2法則のどちらを使って戦闘を行う(グー・パー・チョキ理論)か、ということである。
また、軍事理論をマーケティングにそのままあてはめる(「戦闘力」=「営業力」、「兵員数」=「量」、「武器性能」=「質」に置き換えて考える)のは、なかなか困難なことである。強者戦略
- 軍事における強者とは、兵員数が多い方の軍のことである。
- ビジネスにおける強者とは、市場シェアが1位であることである。
第1法則と第2法則を比較すると、A軍の損害は、第2法則を適用したときのほうが少ない。よって、強者であるA軍は、できるだけ軍力を残すように第2法則を適用できる戦場で戦うべきである。
マーケティング強者戦略
- マーケティング戦略においては、様々な分野に手を伸ばすことで、間隙を突いてのし上がろうとする他社の行動を防ぐことができる。
- 一般化して述べれば、強者のとるべき戦略は追随戦略で、敵と同じ性能の武器を持ち、広い戦場で、多対一で戦い、遠隔戦を行い、力を総動員して圧倒することである。
弱者戦略
- 軍事における弱者とは、兵員数が少ない方の軍のことである。
- ビジネスにおける弱者とは、市場シェアが2位以下のことである。
第1法則と第2法則を比較すると、A軍の損害は、第1法則を適用したときのほうが多い。よって、弱者であるB軍は、できるだけA軍を倒せるように第1法則を適用できる戦場で戦うべきである。
すなわち、実際の戦闘で言うならば、狭い谷間のような場所に軍を進め、たとえ銃や大砲を使用しても一人で多数を攻撃不可能な状況にして、接近戦・一対一の戦闘にもっていけば、A軍の損害を増やすことができる。もちろん第1法則においても、多数であるほうが優勢であるのは間違いないので、敵を分散させて各個撃破していくことも大切である。
マーケティング弱者戦略
- マーケティング戦略においては、一つの特殊な分野に特化することで、そこまで手を回す余裕のない大企業の隙(ニッチ市場)を突いてのし上がれる。一般化して述べれば、弱者のとるべき戦略は差別化戦略で、敵より性能のよい武器を持ち、狭い戦場で、一対一で戦い、接近戦を行い、力を一点に集中させることである。
- ただし、「武器性能の向上」「各個撃破」は、マーケティング戦略では「ひとつの分野に集中する」ことに相当するが、「第1法則を適用できる戦場で戦う」ということがマーケティング戦略において具体的に何を指すのかは、難しい所であろう。
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