ランウェイで笑って
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 22:09 UTC 版)
登場用語
- ミルネージュ
- 千雪の父・研二が社長を務めるモデル事務所。社名はフランス語で「千の雪」を意味する[18]。アパレル産業や化粧品業界にも進出しており[19]、柳田はデザイナーとして独立する前、ミルネージュのデザイナーを務めていた。
- 服飾芸華大学(ふくしょくげいかだいがく)
- 作中世界における、日本随一の服飾大学。学園長は高岡祥子(声 - 潘恵子)。
- 毎年秋に学園祭でファッションショーを開催している。グランプリに輝いた学生には豪華な副賞が与えられており、一例として、1年次の秋にグランプリになった心は、そのときの副賞を使ってパリに留学している。
- Aphro I dite(アプロ アイ ディーテ)
- 作中世界における、日本最高峰のファッションブランド。遠の祖母・麻衣が社長を務めている。
- ファーストラインに加えて、メンズ服を作る「homme」、フォルムを重視した服作りを行う「figure」、若者向けの衣装を作る「novice」という3つのセカンドラインを抱えている[20]。
作風
本作はファッションを題材としており、少年漫画としては「異色の漫画」と評されている[13]。しかし、ストーリー展開は少年漫画の王道を行くものであり[13]、「友情」や「努力」といった要素を盛り込みながらデザイナーとモデルの成長過程が描かれている[2]。
作者はファッションを題材に選んだ理由について問われた際、「スポーツ漫画の友情や熱い感じが好き」だと前置きした上で、スポーツと違って男女が同じ舞台で切磋琢磨できるという理由からファッションを選んだ、と答えている[2]。一方で、ファッション業界には、ファッションに疎い読者でも目標としてイメージできる「全国大会」のようなイベントがないため、本作では序盤で育人や千雪の将来像を示し、物語のゴールをイメージさせやすくするという工夫がなされている[2]。この他にも、本作ではファッションに興味がない人を取り込むために「ヒューマンドラマを軸にする」方針が採られており[2]、登場人物が抱える悩みは読者にも理解できる内容にするよう注意が払われている[13]。
他方で、ファッションやファッション業界に関する作中描写はリアリティーを追求したものになっている[21]。専門家による監修も行われており、コミックス第7巻からはHASEGAWA KAZUYA(FUKAMI)と東京服飾専門学校が正式に協力している[22]。
反響
当初は女性キャラの可愛さから大学生、20代男性に人気だったが夢へ進んでいくひたむきさから幅広い層の支持を得て、女性読者も多い[23]。
ライターの花森リドは、ショーに出演するモデルはランウェイで笑わないと前置きした上で、「ランウェイで笑って」という本作のタイトルは「ありえない」ことを意味している、と述べている[24]。作中では「ありえない」ことに挑む育人や千雪に対して困難が襲いかかるが[24]、マンガ情報メディア「マンガ新聞」の編集長・駒村悠貴は、2人が困難に打ち克って成長を遂げていくさまが本作の見どころだと評している[8]。また、ダ・ヴィンチニュースに掲載されたレビューでは、「意志あるところに道は開ける」という言葉を地で行く本作のストーリーに「胸を打たれ、時に爽快感すら感じ」る、と記されている[25]。
ライターの飯田一史は本作を「2020年代的なマガジンらしさ」のある漫画だと言い、今どきの日本の若者は内向き、選択が保守的だと言われるがそういう社会の中で何々だから仕方ないと言い訳できるハンデを持つ人がそれを言い訳せずに高みを目指すことで読者の背中を押す漫画で、何がいいか悪いかを決めてきた人たちに対してこちらが示す価値をいかに認めさせるかの反逆反抗の物語だからこそエモく、本作は過去の少年マガジンでいくつも連載されたヤンキー漫画にも通じ、時代に逆らってオルタナティブな価値観を示しておかっぱ頭の育人も一見そう思えないかもしれないがマガジンらしさを今風に表現しているとした[26][27]。
本作の舞台となったファッション業界の関係者の反応としては、ファッションジャーナリストの増田海治郎は、本作について「ファッション業界をリアルに描いていて、読み応えがある」と語っている[21]。また、ファッションに関する情報を発信するインスタグラマー・ファッションドリーマーDは、本作に共感を覚え、2018年に本作とコラボしたファッションイベントを開催している[28][29]。本作がアニメ化した際には、ブラザー工業およびブラザー販売がテレビアニメへの協賛を表明している[30][注釈 2]。
作者は服飾専門学校、生地屋、コンテストへの見学もしているが、業界関係者からは突飛さも感じられ、杉野服飾大学の学生は作中のように簡単にコトが進むことはほとんどないとする意見や同大准教授の五月女由紀子も「コンテストで受賞として、デビューするのは簡単ではない」とするが「夢を見せるのも大事。学生の目標にはなるかもしれない」と、発奮の材料として期待、デザインを学ぶ人からは徹夜で作品を完成させる長時間労働は納期に追われる点が現実と同じでリアリティがあるとする[23]。
注釈
出典
- ^ “ランウェイで笑って (1)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (2)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (3)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (4)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (5)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (6)”. 2018年8月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (7)”. 2018年10月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (8)”. 2018年12月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (9)”. 2019年2月15日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (10)”. 2019年4月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (11)”. 2019年7月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (12)”. 2019年9月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (13)”. 2019年11月15日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (14)”. 2020年3月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (15)”. 2020年3月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (16)”. 2020年6月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (17)”. 2020年8月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (18)”. 2020年11月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (19)”. 2021年1月15日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (20)”. 2021年3月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (21)”. 2021年5月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (22)”. 2021年8月17日閲覧。
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