ペットボトルロケット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/05 12:59 UTC 版)
概説
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一般にわずか200g程度のこのロケットは、火薬を使わずに手軽にモデルロケットの打ち上げができることが最大の特徴である。単純に楽しみのため打ち上げる場合もあるし、実験教材として打ち上げられる場合もある。実験として行う場合、火や火薬を使わず安全かつ楽しく力学の基本(特に作用・反作用)に関して学ぶことができる。火薬などの法規制が厳しい日本においても、子どもたちの理科の教材として頻繁に採用されている。
1990年代にペットボトルロケットを作ろうとすると、圧縮空気の圧力に耐えることができ発射の時には簡単にはずれる特殊な弁を自作しなければならず少しハードルが高かった。近年では耐圧弁や発射装置や羽やロケット先端部分がワンセットになったペットボトルロケット用キットが数千円程度で市販されておりネット通販でも簡単に購入できるようになっており小学校低学年の生徒でも数十分〜1時間程度の工作で組み立てて打ち上げを行うことができる。市販セットの他には、使用済みの炭酸飲料のペットボトル数個とビニールテープを用意するだけでよい。
「とりあえず少しでも飛び上がればいい」という程度で打ち上げるだけならばすぐに達成できて単純な爽快感のようなものを感じるだけだが、次の段階に入って飛距離を伸ばそうとし始めた段階から、羽の素材に適度な強度を持ったものを選び羽のつけかたを工夫するとロケットが適度に回転し軸が安定し飛距離が伸びるとか、入れる水の量と圧縮空気の圧力(ポンプを押す回数)で飛距離が変化するとか、先端の形状をどうすると飛距離と安全性のバランスをとれるか考えるとか、発射装置のガイドレールの長さが違うものを自作してみる、風向きが追い風が向かい風かで打ち上げ角度をどうすれば飛距離が伸びるかについてそれなりに計算する方法があるなど、工夫すべきことや試しに実験してみたくなることがどんどん出てくる。つまりペットボトルロケットの打ち上げというのは入門者にはとりあえず簡単でありながら、その先に、奥深くて面白い領域が広がっている。
打ち上げる人・チームごとの工作技術、工学的な能力、力学に関する知識などの差が飛距離の差、具体的な数字の差となって現れるので競技会も行われている。アメリカのサイエンス・オリンピアドでもペットボトルロケットの競技が行われており[1][2]、日本各地でも競技としてのペットボトルロケット打ち上げ大会が開催されている。
また、火薬を使わず火災の心配がないことや環境汚染の心配がないことなどから、山岳地帯の電線敷設の際に尾根から尾根への架線作業にも利用されている。架線作業に用いることは、中部電力が「ウォーターロケット延線工法」と呼んで1999年(平成11年)度に全社に配備した[3]。「同工法を採用したのは中部電力が最初[要出典]」と言われており、400m近く飛ぶペットボトル2本を連結し、容量を増加した大型のペットボトルロケットも使っている。
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