プロジェクトMUSE 概要

プロジェクトMUSE

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 00:41 UTC 版)

概要

MUSEのオンライン学術雑誌コレクションは大学公立専門学校の各図書館が加入し閲覧することができる。現在、世界各地の2,700以上の図書館がプロジェクトMUSEを利用でき、2012年1月からMUSEに収載した電子書籍コレクションの購入が可能になった。2013年末時点で2万3,000冊超の書籍がプラットフォーム上で利用可能になったとされる[5]

学術雑誌のデジタル版のまとめサイトであり、EBSCO(英語)エルゼビアJSTOROverDrive(英語)およびProQuest(英語)のような第三者取得サービスとして機能する[6]

プロジェクトはいわゆる持続可能なモデルによる非営利団体として、図書館、出版社、研究者のニーズを満たすことを目指す[7]。学術、公立、専門と大学の各種図書館を対象に、MUSEオンライン学術雑誌コレクションの定期購読権を提供する。2012年現在、世界各地の2,500超の図書館が購読、2012年1月より機関に対して電子書籍コレクション購入を解禁した。このプラットフォームでは、何千もの学術書が手に入る。

歴史

1993年にジョンズ・ホプキンズ大学出版局と同学ホームウッド校ミルトン・S・アイゼンハウアー図書館英語版との合同プロジェクトとしてスタート、アンドリュー・W・メロン財団全米人文科学基金から助成金を受け、1995年、JHUプレスジャーナルと共にオンラインサービスを開始した[7]。MUSEのオンラインコレクションは2000年に他の学術出版社発行の定期刊行物も受け入れ始め、以降毎年のようにMUSEに参加する出版社が増えている。2012年1月には新しいインターフェイスを導入、それまでの学術雑誌コレクションに加えて、大学出版局コンテンツコンソーシアム(University Press Content Consortium, UPCC)の会員が出版する電子書籍を利用可能にした。

インターフェースの更新によりプラットフォームが採用したWAIS検索ユーティリティは通称 SWISH (Simple Web Indexing System for Humans) と呼ばれ、号や巻単位または40超の全タイトルにわたりブール検索ができる[8]。また記事内に脚注がある場合は、脚注番号を拾い出し、記事の出典一覧節や注釈節にハイパーリンクとして添える機能も備えている[8]

学術雑誌

多層式価格決定構造を提供するプロジェクトMUSEは、加入機関の予算状況や需要調査に対応する努力をしている[9]。一般に、プロジェクトMUSEへの加入は他の全文オンライン雑誌コレクション、紙媒体や電子版の雑誌を個人購入するコストと比べると、非常に手頃である。加えて、図書館とその利用者はたとえ購読の契約更新をデータベースに登録しなくても、プロジェクトMUSEから購読したコンテンツの所有権を維持できる。

購読者は、学際的な学術雑誌コレクション4件、人文科学と社会科学それぞれの分野を幅広くとらえたコレクション2件からアクセス対象を選ぶことができる。MUSEに収載したコンテンツは17の学際的研究領域に分けられ、地域・民族学、美術・建築、小説、教育、映画・演劇・舞台芸術、歴史、語学・言語学、図書館科学・出版、文学、医学と健康、音楽、哲学、宗教、科学・技術・数学、社会科学、時代別研究、女性学、性差・性自認で構成される。

また、数ある大学出版局や学会の定期刊行物の全文を公開する機関は、プロジェクトMUSE唯一である[10]。学術雑誌は紙媒体と同時に電子版を公開、データベース内で永久的に提供する。購読者である図書館は学術雑誌の紙媒体の購読をしなくても、プロジェクトMUSEで電子版を利用できる。ほとんどの学術雑誌は最近版を収載するが、同じ資料の過去号も定期的に追加されている。250超の大学出版局や学会から600件以上の学術雑誌を受け入れており、創刊号から揃うものも100超を数える。

さらにチュートリアル、教材、件名標目といったリソースも提供している。MUSEのエンドユーザーはデータベースを検索するだけでなく、もし加入機関と提携している場合は、すぐにコンテンツの100%つまり全文英語版PDFまたはHTML形式で取得できる。データベースに収載した各刊行物の完全なコンテンツとは、図表や画像を含む全文を指す。また研究と検出ツールを各種用意し、ソーシャルブックマークや出典管理機能に加えてRSSフィードがある。MUSEの購読権は同時アクセスに制限がなく、かつまた図書館間相互貸借を通して他の機関のコンテンツを取得することができる。


  1. ^ オープンアクセス・ムーブメント関連年表”. 2015年4月29日閲覧。
  2. ^ Project MUSE - Journals in Project MUSE”. muse.jhu.edu. 2016年7月16日閲覧。
  3. ^ [Project MUSE - Browse”. muse.jhu.edu. 2016年7月16日閲覧。
  4. ^ Project MUSE - MUSE Publishers”. muse.jhu.edu. 2016年7月16日閲覧。
  5. ^ 詳細はこちらを参照。
  6. ^ University presses take control of ebook distribution (大学出版局が電子ブックの配布を管理する)” (英語). www.insidehighered.com. 2019年3月8日閲覧。
  7. ^ a b Project MUSE | Electronic Informationservice”. www.eisz.hu. 2019年3月8日閲覧。
  8. ^ a b Project Muse”. www.bowdoin.edu. 2019年3月8日閲覧。
  9. ^ “Project MUSE - Journal Collections”, jhu.edu, http://muse.jhu.edu/about/order/journal_collections.html 2016年7月16日閲覧。 
  10. ^ “Project MUSE - Journals in Project MUSE”, jhu.edu, http://muse.jhu.edu/about/muse_journals_list.html 2016年7月16日閲覧。 
  11. ^ “Project MUSE - UPCC Books on Project MUSE”, jhu.edu, http://muse.jhu.edu/about/UPCC.html#origin_UPeC 2016年7月16日閲覧。 
  12. ^ Christopher, Church (2018年5月7日). “Johns Hopkins University Press is giving out-of-print books new life (絶版書に新しい命を吹き込むジョンズ・ホプキンズ大学出版局)” (英語). Technical.ly Baltimore. 2019年3月8日閲覧。
  13. ^ email : Webview : Project MUSE to Offer Single Title Sales of UPCC Books through YBP Partnership
  14. ^ News | Project MUSE to Offer Single Title Sales of UPCC Books through YBP Partnership”. web.archive.org. Baker & Taylor (2015年10月18日). 2019年3月15日閲覧。


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