フォークランド諸島 政治

フォークランド諸島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 05:40 UTC 版)

政治

議会が開かれるギルバートハウス。北東よりの眺め。

国家元首はイギリス国王であり、総督が代行する。政府の長である行政長官は、議会で選出され、総督が任命する。

立法府としてフォークランド諸島立法会議があり、スタンリーにあるギルバートハウスにて開かれる。議長は2009年から務めるキース・ビルズ英語版。議会は全11人からなっており、そのうち3人が特別職で、残り8人を選挙で選ぶ。選挙はスタンリーとキャンプの2つの地区で実施されており、スタンリーの5区とキャンプの3区の全8選挙区で行われる。なお、島に政党は存在しない[7]。直近の選挙は2021年11月4日に執行された。

2009年にフォークランド諸島憲法英語版が発効した。

地方行政区分

地理

フォークランド諸島はアルゼンチン・パタゴニアから500km離れたアルゼンチン海上にあり、東フォークランド島西フォークランド島の2つの大きな島、そして776の小さな島からなる。これら諸島の総面積は12,173 km2で、北アイルランドや日本の長野県と同じぐらいである。東フォークランド島と西フォークランド島にはそれぞれ山脈がある。最高峰は東フォークランド島にあるアスポーン山 (754m) で、スタンリーは東フォークランド島の東端にある。両島はフォークランド海峡で隔てられる。島のほとんどが不毛な荒地であるが、東フォークランド島の平坦な土地は羊の牧草地になっている。

海水温の低い南大西洋に囲まれているため、寒冷海洋性気候であり、冷涼で風が非常に強い。スタンリーの1月最高気温15度・最低気温7度、7月は最高5度・最低0度である。降水量は比較的少なく年間500mm程度であるが、毎月20日以上雨が降る。稀に雪が降り、しかも季節に関係なく降ることがある。

フォークランド諸島

主な島

経済

経済水域(イギリス)

フォークランド諸島の経済は、GDP(PPP)で世界229か国地域中222番目の規模であるが、一人当たりのGDP(PPP)では96,962ドルで世界第4位にランクされている[8]。2016年の失業率は1% 、2014年のインフレ率は1.4%である。2010年のデータに基づくと、島の人間開発指数は0.874[9]と高く、ジニ係数は中程度である。[10]

かつてアザラシ猟や捕鯨も行っていたが中止され、その後は主に羊の放牧で、羊毛は代表的な輸出品の1つである。19世紀にスコットランド人らイギリス人入植者らが島で羊産業を始めて以来、羊の数は現在約60万匹近くおり、フォークランド諸島の人口より多い。羊産業は島の代表な産業だが、近年の主力は漁業にとって代わっている。

フォークランド紛争後、1984年にイギリス政府の支援を受けて設立された開発会社 (Falkland Islands Development Corporation) は人口増加のため、経済を活性化させ、独自性を生かし農業、漁場、観光業を発展させた。道路、教育機関、医療施設もこの時期に整備された。羊毛価格の下落は、多くの島民が従事する牧羊共同体の生活水準に影響を及ぼし、大量の失業者と島民の移住が危ぶまれた。これを免れたのは、領内で油田存在の可能性が判明したからである。

1987年から国外への漁業権の販売によって、財政上の問題を解決して来た。1990年代は2000万から2500万ポンドの収益をあげ、近年では年間で1200万から1500万ポンドと売上高を伸ばした。年間漁獲高200,000トンの75%はイカである[11]

アルゼンチンとイギリスの間で海底下の石油資源に関する協定が結ばれたが、2007年に破棄された。2010年にBHPビリトン(現在のBHPグループ)が調査を許可された。それは2010年2月から始められ、2か月後にはフォークランド諸島北部海域で石油を発見した[12]。同月、アルゼンチンの外務相はいかなる合法的な措置も辞さないと警告を出した[13]。その後、南部海域でも石油が発見されている。


  1. ^ State of the Falkland Islands Economy” (2015年3月). 2016年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月8日閲覧。
  2. ^ パトリック・トール著、平山廉監修、南條郁子、藤丘樹実訳 『ダーウィン』 《「知の再発見」双書99》 創元社 2001年 46ページ
  3. ^ Argentina restringe el paso de los navíos hacia las Malvinas 17 de febrero de 2010 - el pais.com
  4. ^ “フォークランド沖の油田めぐり英国とアルゼンチンの緊張高まる”. AFPBB. (2010年2月22日). https://www.afpbb.com/articles/-/2699440 2019年6月21日閲覧。 
  5. ^ フォークランド諸島の住民投票、99.8%が英領維持を支持 ロイター(2013年3月12日)
  6. ^ Falkland Islands hold referendum on disputed status CNN (2013年3月11日)
  7. ^ “Falklands governor dissolves the Legislative Assembly and tries a cueca on a crutch”. MercoPress. (2021年9月27日). https://en.mercopress.com/2021/09/27/falklands-governor-dissolves-the-legislative-assembly-and-tries-a-cueca-on-a-crutch 2021年11月6日閲覧。 
  8. ^ The World Factbook — Central Intelligence Agency Archived 25 June 2014 at the Wayback Machine.. Cia.gov. Retrieved on 20 September 2017.
  9. ^ Avakov 2013, p. 47.
  10. ^ Avakov 2013, p. 54.
  11. ^ Falkland Islands Government - Fisheries 英語
  12. ^ Falklands oil firm Rockhopper claims discovery
  13. ^ Argentina denounces British ‘pirates’ after oil discovery in Falklands waters
  14. ^ a b c d Falkland Islands Cricket Association 国際クリケット評議会 2023年9月30日閲覧。






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