パラシテラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/22 02:46 UTC 版)
分類
本属には上記の1種のみが知られている。所属としては上記のようにケカビ属にきわめて類似しているが、有性生殖器官でははっきりと区別できるため、別属と認められた。ちなみに新種記載はケカビ属のもの(Mucor parasiticus)として行われた。シノニムに P. simplex がある。
上位分類としては、ケカビ属にもっとも類似しており、無性生殖器官はほぼ共通で、有性生殖器官に違いは認められるものの、基本的な構造は共通していると見える。そのため形態的特徴を重視した20世紀までの分類体系では当然のようにケカビ科に含めた。
しかしながら21世紀に入り、この類の分類体系は大きく見直された。分枝系統による系統樹では従来のケカビ科もケカビ属もバラバラの位置になり、たとえばO'Donnnell et al.(2001)では、このカビはMucor racemosus・M. circinelloides・バクセラ・クテニディア Backusella ctenidia・エリソミケス Ellisomyces anomalusと一つの分枝を形成している。O'Donnnell(2005)は科の所属を指定していない。生物学事典第5版の体系ではケカビ科に含めている。
参考文献
- Zycha, H. and Siepmann,1969. R. ed. Mucorales, Eine Beschreibung aller Gattungen und Arten dieser Pilzgruppe. Lehre: J. Cramer. pp. 155-244.
- Martina Kellner, Anke Burmester, Anke Woestemeyer & Johannes Woestemeyer. 1993. Transfer of genetic information from the mycoparasite Parasitella parasitica ti its host Absidia glauca. Curr. Genet. 23:pp.334-337.
- Sophia Santa & A. F. Blakeskee, 1926. The Mucor Parasite Parasitella in Relation to Sex. Proc. N. A. S. Vol.12:pp.202-207.
- KIerry O'Donnell, F. M. Lutzoni, T. J. Ward & Gerald L. Benny. 2001. Evolutionary relationships among mucoralean fungi (Zygomycetes) :Evidence for family polyphyly on large scale. Mycologia 93(2)pp.286-296
- O'Donnell. 2005, Parasitella. :[1]
- 『岩波生物学事典 第5版』(2013)、岩波書店
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