バウンティ (帆船) 発見

バウンティ (帆船)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 07:31 UTC 版)

発見

1957年1月、アメリカの水中写真家ルイス・マーデン英語版は1933年に沈没船の舵が発見された[6]ピトケアン島沖合での潜水調査を試みた。島民からは命の危険があるとの警告を受けたが[7]、強いうねりのある海で数日間にわたった調査の末、マーデンはバウンティの残骸を発見した。マーデンはラダーピン、釘、オール受け、金具類、そして錨を引き上げる事に成功した[8][6]。その後、マーデンはマーロン・ブランドが1962年に映画『戦艦バウンティ』でフレッチャー・クリスチャン役を演じる際のアドバイザーを務めた。彼は回収したバウンティの釘から作成したカフスボタンを終生身に付けていたという。

現在もバウンティ湾の海中には、バラスト石などのバウンティの残骸の一部が現存している。

バウンティの4つの4ポンド砲のうちの最後の1つは1998年にジェームズクック大学の考古学チームによって引き上げられ、クイーンズランド博物館に送られて40カ月にわたって保存のための電解処置を受けた。砲はその後ピトケアン島に戻され、そこで新しい市民ホールに展示されている[3]

再建造

1935年の映画『戦艦バウンティ号の叛乱』が制作されたとき、帆船(多くの場合、補助エンジン付き)はまだ現役で使用されており、映画に登場するバウンティ号とパンドラ号は既存の船を改造した物が使用された。

2012年10月、ハリケーン・サンディによって沈没したバウンティ(アメリカ沿岸警備隊が撮影)

1960年、映画『戦艦バウンティ』の撮影に使用するため、オリジナルを忠実に再現したレプリカ英語版カナダノバスコシア州ルーネンバーグで建造された。映画の撮影終了後、船は非営利団体 "HMS Bounty Organization LLC" の所有となり、世界各地の港を訪れて帆走のデモンストレーションを行う一方、船の維持費を賄うために有料で乗客を迎えての航海も行っていた。長期航海の際の乗員は全てボランティアで参加していた。

2012年10月29日、公海上を航行中の同船はハリケーン・サンディと遭遇し、航行不能となったため乗組員はノースカロライナ州沖で船を放棄した[9]アメリカ沿岸警備隊エリザベスシティ航空基地英語版の記録によると、船は同日の12時45分 (UTC) に沈没し、ロビン・ウォルブリッジ船長を含む乗員2名が行方不明となった。船長は見つからず、11月2日に死亡推定と宣告された[10]。 もう1人の行方不明者クローデン・クリスチャン(彼は「バウンティ号の反乱」のフレッチャー・クリスチャンの子孫である)は沿岸警備隊によって救助されたが[11][12]、心肺停止状態で病院で死亡が確認された[13][14]

HMAV バウンティ (1978年再建)

もう一隻のレプリカ英語版は、1979年にニュージーランドで建造された。オリジナルの完全再現ではなく、船体は鋼鉄で作られた物を木材で覆ったものである。1984年公開の映画『バウンティ/愛と反乱の航海』の撮影に使用された後、「HMAV バウンティ」の船名でシドニーダーリングハーバーを母港とする観光クルーズ船として使用され、2007年10月に香港の企業集団 "HKRインターナショナル英語版中国語版" に売却された。香港では「濟民號(粤拼:Zaimanhou、拼音:Jiminhao)」と改名され[15]ランタオ島ディスカバリー・ベイを拠点に観光や訓練用のチャーター船として使用されていたが、2017年8月1日に引退した[16]。 HKR社は船のその後については明らかにしていない。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ His Majesty's Armed Vessel
  2. ^ ジェームズ・クックの「エンデバー」の368トン、「レゾリューション」の462トンなど探検のために利用された同種の船と比較しても非常に小さかった。
  3. ^ 大砲の実物の写真[3]。船内での4ポンド砲の配置については[4]を参照。
  4. ^ 指揮官(ブライ)、43人の海軍軍人、2人の民間植物学者。

出典

  1. ^ C. Knight, "HM Armed Vessel Bounty," Mariner's Mirror 22 (1936). https://books.google.com/books?id=qKgPAAAAIAAJ&q=%22HM+Armed+Vessel+Bounty+By+C+Knight%22 2009年1月23日閲覧。 
  2. ^ Winfield, Rif (2007). British Warships in the Age of Sail, 1714–1792: Design, Construction, Careers and Fates. Barnsley: Seaforth Publishing. p. 335. ISBN 978-1-84415-700-6 
  3. ^ a b Cannon from HMAS Bounty”. 2012年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年10月31日閲覧。
  4. ^ Erskine, Nigel (May–June 1999). “Reclaiming the Bounty. Archaeology 52 (3). http://www.archaeology.org/9905/etc/bounty.html 2012年10月31日閲覧。. 
  5. ^ William Bligh”. Find a Grave. 2010年3月29日閲覧。
  6. ^ a b The 'Bounty's' Last Relics. 44. (10 February 1958). pp. 38–41. https://books.google.com/books?id=zFUEAAAAMBAJ&pg=PA38 2012年10月31日閲覧。. 
  7. ^ Jenkins (2003年3月3日). “National Geographic Icon Luis Marden Dies”. National Geographic. 2007年5月13日閲覧。
  8. ^ William Bligh”. Find a Grave. 2010年3月29日閲覧。
  9. ^ “Hurricane Sandy: Hurricane Sandy sinks tall ship HMS Bounty”. CBS News. http://www.cbc.ca/news/canada/nova-scotia/story/2012/10/29/ns-hms-bounty-hurricane-sandy.html 2012年10月29日閲覧。 
  10. ^ Grier, Peter (2012年10月29日). “The story behind the HMS Bounty, sunk by Sandy off N.C. coast”. The Christian Science Monitor. http://www.csmonitor.com/USA/2012/1029/The-story-behind-the-HMS-Bounty-sunk-by-Sandy-off-N.C.-coast 2012年10月31日閲覧。 
  11. ^ Jonsson (2012年10月30日). “HMS Bounty casualty claimed tie to mutinous Fletcher Christian”. 2012年10月31日閲覧。
  12. ^ Allen, Nick (2012年10月31日). “Sandy's Bounty victim was descendent of man who led famous mutiny”. The Daily Telegraph. https://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/northamerica/usa/9644072/Sandys-Bounty-victim-was-descendent-of-man-who-led-famous-mutiny.html 2012年10月31日閲覧。 
  13. ^ Dolak, Kevin; Effron, Lauren (2012年10月30日). “Woman Dies After Hurricane Sandy Ship Rescue”. ABC News. https://abcnews.go.com/US/hurricane-sandy-woman-dies-tall-ship-hms-bounty/story?id=17595062#.UI_-6oLwRLs 2012年10月31日閲覧。 
  14. ^ Dalesio (2012年10月31日). “HMS Bounty: Search for missing captain continues”. The Christian Science Monitor. 2012年10月29日閲覧。
  15. ^ The Bounty” (2012年10月24日). 2012年11月1日閲覧。
  16. ^ The Bounty web site”. www.thebounty.hk. 2019年1月20日閲覧。


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