ジョゼフ・ジョン・トムソン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/07 03:16 UTC 版)
エピソード
- 白洲次郎がケンブリッジ大学に留学していた時、トムソンは白洲の答案に「君の答案には、君自身の考えが一つもない」とのコメントを記して返却したという[10]。このエピソードは、NHK「ドラマスペシャル・白洲次郎」(2009年)においても印象的に描写されている。
- 同じく白洲次郎が語るところによると、トムソンは散歩をしながら思索にふける習慣があり、思索が深まってくると道の真ん中でも立ち止まってしまい、しばしば車の通行を止めてしまうことがあったが、警官はトムソンを注意することはせず、彼が動くまで車の方を止めていたという[10]。
- トムソンはトリニティ・カレッジ学長時代、自分で前庭の芝生の手入れをしていた。ある時みすぼらしい身なりで手入れに励んでいたトムソンに、参観にきた米国のある大富豪が、カレッジ付きの園丁と見間違え「十円札」(出典原文ママ)をつかませて手入れの秘訣を尋ねた。トムソンは「水をやりなさい。ローラーをかけなさい」と言って大富豪の顔と十円札を見比べる。大富豪がもう十円札をつかませると、やはり「水をやりなさい。ローラーをかけなさい」と繰り返す。憤慨した大富豪が更に十円札をつかませ「そんなことは判っている!」と怒鳴ると、トムソンは三枚の十円札を懐にねじ込み「それを毎日繰り返して500年経つとこうなるんです」と返答した。後に周囲に「あの三十円こそが、俺が一生で正直に稼いだ唯一の金さ」と嘯いたという[11]。
受賞歴
- アダムズ賞 (1882)
- ベーカリアン・メダル (1887, 1892, 1913)
- ロイヤル・メダル (1894)
- ヒューズ・メダル (1902)
- ノーベル物理学賞 (1906)
- エリオット・クレッソン・メダル (1910)
- コプリ・メダル (1914)
- フランクリン・メダル (1922)
- ファラデー・メダル (1925)
- ^ 例えば、アーサー・シュスター、ピーター・ゼーマン、エミール・ヴィーヘルトはトムソン以前に電子の比電荷を測定し、ゼーマンとヴィーヘルトはそれが非常に軽い(または小さい)荷電粒子だと結論している。また電場によって陰極線を偏向させる実験結果は、1896年にグスタフ・ヤウマンによって発表されている。(マルチネス「科学神話の虚実」、カーオ「20世紀物理学史 上」)
- ^ 20世紀初頭には実際にそのような評価がされていた。トムソンを「電子の発見者」とする狭くて単純化された見方を広めたのはトムソンの弟子たちだったと、イソベル・ファルコナーやE・A・デーヴィスのような物理学史家は指摘している。(マルチネス「科学神話の虚実」)
- ^ “偉人たちの夢 (65)J.J.トムソン”. サイエンスチャンネル. 2019年12月9日閲覧。
- ^ “偉人たちの夢 (65)J.J.トムソン”. サイエンス チャンネル 2020年2月28日閲覧。
- ^ a b Davis, J.J. Thomson and the Discovery of the Electron
- ^ "Thomson, Joseph John (THN876JJ)". A Cambridge Alumni Database (英語). University of Cambridge.
- ^ "Thomson; Sir; Joseph John (1856 - 1940); Knight". Record (英語). The Royal Society. 2011年12月11日閲覧。
- ^ Thomson, J. J. (1905). “On the emission of negative corpuscles by the alkali metals”. Philosophical Magazine, Ser. 6 10: 584–590. doi:10.1080/14786440509463405.
- ^ Hellemans, Alexander; Bryan Bunch (1988). The Timetables of Science. New York, New York: Simon and Schuster. pp. 411. ISBN 0671621300.
- ^ Thomson, J. J. (June 1906). “On the Number of Corpuscles in an Atom”. Philosophical Magazine 11: 769–781 2008年10月4日閲覧。.
- ^ a b Cathode rays Philosophical Magazine, 44, 293 (1897)
- ^ a b 青柳恵介『風の男 白洲次郎』(新潮社(新潮文庫)、2000年)pp. 51
- ^ 池田潔『自由と規律』(岩波書店(岩波新書)、1949年)pp. 63-64
固有名詞の分類
イギリスの物理学者 |
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