シンコウシングラー事件 シンコウシングラー事件の概要

シンコウシングラー事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/11/18 03:25 UTC 版)

概要

1999年5月16日[2][3][1][4][5]東京競馬場で行われた緑風ステークスに出走したシンコウシングラーは2位に入線した[2][3][6][4][7]が、レース後に負担重量検量を行った際、レース前の検量時と比較して[2][8][7]1.7キログラム[2][3][8][5]の不足[3][8][4][7]があったことにより、失格となった[2][3][8][4][7]

原因

シンコウシングラーに騎乗した騎手柴田善臣[4]が負担重量を調節するために用意していた、2キログラム[8][4][5]のゴム製パッド[2][8][4][5]に装着されていなかった[3][8]ことが重量不足の原因であった。柴田がレース前の検量後に鞍を検量室内に置いた[3]際、パッドのほかゼッケンや腹帯といった装具の順番を正しく並べておかず[9]、それをシンコウシングラーの管理調教師である[5]栗田博憲[2][3][5]装鞍するために検量室外へ運び出すにあたり、並べなおした際に[2][3][4][5]、パッドを置き忘れた[2][9][4][5]のではないかと推定された。

主催者の対応

レース前とレース後の負担重量の差が(日本中央競馬会競馬施行規程で)定められている1キログラムの範囲を超えていたことから[2][4]、中央競馬の主催者である日本中央競馬会 (JRA) はシンコウシングラーを失格とした。シンコウシングラーに関連する13億円あまり[8]勝馬投票券は不的中として扱われ、返還はされなかった[10][8]。日本中央競馬会は競馬法に照らし、返還規定には当てはまらないとの見解を示している[10][11]。外部に向けた謝罪などはなかったという[12]

日本中央競馬会はレースの翌日に裁決委員会を開き[2][5]、柴田善臣と栗田博憲の双方に落ち度があったと認め、柴田には20万円[2][3][13][5][4]、栗田には上限額となる[2][3][5]50万円[2][3][13][5][4]の過怠金を科した。なお、この案件は調教師と騎手との問題と判断されたため、検量室を管轄する職員(検量委員)は責任を問われなかった[9]

再発防止策としては検量の回数が増やされ、装鞍所において鞍の検量を行うこととなり[14][10]、1999年7月17日から実施に移された[14]

外部の見解

シンコウシングラーの失格にともなう勝馬投票券の扱いについて、スポーツライターの阿部珠樹と放送作家の北野義則はともに不良品を販売した企業や商店を例にとり[15][8]、日本中央競馬会のファン対応に疑問を呈している[16][17]。阿部は極論と前置きしたうえでレース自体を不成立とみなして[10]、北野は阪神競馬場誤審事件のときと同様に道義的責任をもって[13]、それぞれ返還対応すべきだったとしている。


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  1. ^ a b 『日本競馬7つのバカ』、48頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 「JRA News『斤量不足で失格 関係者に過怠金』」、『優駿』、日本中央競馬会、1999年7月、 161頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 『競馬名馬&名勝負年鑑1999-2000』、212頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 中央競馬を振り返る” (日本語). 競馬ニホン (1999年5月). 2012年4月29日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l ニュースぷらざ「栗田師過怠金50万円、柴田善20万円」” (日本語). 競馬ブックコーナー. NECインターチャネル (1999年5月31日). 2012年4月29日閲覧。
  6. ^ 『日本競馬7つのバカ』、48-49頁。
  7. ^ a b c d ニュースぷらざ「シンコウシングラー 斤量不足で失格」” (日本語). 競馬ブックコーナー. NECインターチャネル (1999年5月24日). 2012年4月29日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j 『日本競馬7つのバカ』、49頁。
  9. ^ a b c 『競馬名馬&名勝負年鑑1999-2000』、213頁。
  10. ^ a b c d 『競馬名馬&名勝負年鑑1999-2000』、214頁。
  11. ^ 坂本日出男 (1999年6月7日). “編集員通信「“参加馬の確定したる後”」” (日本語). 競馬ブックコーナー. NECインターチャネル. 2012年4月29日閲覧。
  12. ^ 『日本競馬7つのバカ』、50-51頁。
  13. ^ a b c 『日本競馬7つのバカ』、50頁。
  14. ^ a b 「JRA News『負担重量過誤防止策として装鞍所で鞍の計量』」、『優駿』、日本中央競馬会、1999年9月、 148頁。
  15. ^ 『競馬名馬&名勝負年鑑1999-2000』、215頁。
  16. ^ 『競馬名馬&名勝負年鑑1999-2000』、214-215頁。「一番被害をこうむったのは誰?」
  17. ^ 『日本競馬7つのバカ』、49-51頁。


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