カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林 登録基準

カンペチェ州カラクムルの古代マヤ都市と熱帯保護林

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/04 08:54 UTC 版)

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

アクセス

サン・ミゲル砦考古学博物館の展示
サン・ミゲル砦考古学博物館展示のヒスイの仮面

世界遺産に拡大登録された2010年代半ばの時点では、カラクムル行きの公共交通機関はない[9][49]。そのため、カラクムルへの観光には、カンペチェ市の旅行会社が主催しているツアーに参加するか、カンペチェからバスで4 - 5時間の場所にあるシュプヒルスペイン語版の町でタクシーを用意することになる[49]

カラクムル生物圏保護区の入り口に辿り着いても、そこから都市遺跡までは60 km 程度離れている[注釈 5]。しかも、域内の物販はガイドブックとミネラルウォーターくらいしかない上、出土品の展示館などもなく、出土品を見るにはカンペチェ市内のサン・ミゲル砦考古学博物館に行く必要がある[9]

マヤ文明の遺跡には密林にあっても観光名所としてのインフラ整備が進んでいる例もあるが、カラクムルはそれとは対照的である[50]。カラクムルは2002年に文化遺産になっていたにもかかわらず、2014年の時点でさえも都市遺跡を訪れる観光客は月300人とされていた[51](生物圏保護区そのものの訪問者は、2012年の時点で年25,000人[52])。しかし、このような訪問のしづらさも、むしろ逆にエコツーリズムの面から積極的に評価しようとする見解もある[53]


注釈

  1. ^ 佐藤 2006a(p.2)や市川 2014では6,250、関 & 青山 2005では6,345となっている。
  2. ^ 佐藤 2006aではメキシコで2番目とされており、IUCN 2014ではメキシコ最大とされている。
  3. ^ 2009年の第33回世界遺産委員会での審議のため、その締め切りである2008年2月1日までに推薦書が提出されたことはあったが、書類不備で審議されなかった(List of complete nominations received by 1 February 2008 and for examination by the Committee at its 33rd session (2009) (WHC-08/32.COM/INF.8B3.Rev), p.2)。
  4. ^ 見出しでは「カンペチェ州、カラクムールの古代マヤ都市と保護熱帯林」だが、本文中には「カンペチェ州、カラクムールの古代マヤ都市と熱帯雨林保護区」とある(東京文化財研究所 2014, p. 241)。
  5. ^ 佐藤 2006aICOMOS 2014は60 km、地球の歩き方編集室 2014は55 km としている。

出典

  1. ^ a b c 佐藤 2006b, p. 2
  2. ^ a b c d e f g 市川 2014, p. 281
  3. ^ 佐藤 2006b, p. 3
  4. ^ 佐藤 2006b, p. 5
  5. ^ 佐藤 2006b, pp. 5–6
  6. ^ 佐藤 2006b, p. 6
  7. ^ 佐藤 2006b, pp. 7–10
  8. ^ 佐藤 2006b, pp. 10–12
  9. ^ a b c 佐藤 2006a, p. 3
  10. ^ 佐藤 2006b, p. 13
  11. ^ a b c 世界遺産検定事務局 2016, p. 387
  12. ^ 関 & 青山 2005, p. 68
  13. ^ a b 佐藤 2006a, pp. 2–3
  14. ^ a b c ICOMOS 2014, p. 43
  15. ^ a b c d e f g h i 関 & 青山 2005, p. 67
  16. ^ a b c 世界遺産アカデミー & 世界遺産検定事務局 2009, p. 149
  17. ^ 佐藤 2006a, p. 7
  18. ^ 青山 2005(口絵ii)
  19. ^ 青山 2015, p. 32
  20. ^ a b c d e 青山 2015, p. 129
  21. ^ 青山 2015, p. 171
  22. ^ 青山 2005, p. 156
  23. ^ 青山 2015, pp. 129, 175–177
  24. ^ 青山 2015, pp. 175–177
  25. ^ 青山 2005, pp. 46, 155
  26. ^ IUCN 2014, p. 117
  27. ^ a b c Ancient Maya City and Protected Tropical Forests of Calakmul, Campeche” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年5月4日閲覧。
  28. ^ a b c d Región de Calakmul Biosphere Reserve, Mexico” (英語). UNESCO (2018年10月). 2023年3月24日閲覧。
  29. ^ a b 佐藤 2006a, p. 5
  30. ^ UNEP-WCMC 2015, p. 5
  31. ^ a b c d e IUCN 2014, p. 114
  32. ^ a b c d UNEP-WCMC 2015, p. 6
  33. ^ a b c d UNEP-WCMC 2015, p. 7
  34. ^ ICOMOS 2002, p. 2
  35. ^ ICOMOS 2002, p. 1
  36. ^ ICOMOS 2002, p. 4
  37. ^ IUCN 2014, p. 113
  38. ^ ICOMOS 2014, p. 42
  39. ^ ICOMOS 2014, p. 49
  40. ^ IUCN 2014, pp. 115–118
  41. ^ 東京文化財研究所 2014, p. 240
  42. ^ 東京文化財研究所 2014, pp. 240–241
  43. ^ a b 東京文化財研究所 2014, p. 241
  44. ^ 日本ユネスコ協会連盟『世界遺産年報2013』朝日新聞出版、2013年、p.37
  45. ^ 日本ユネスコ協会連盟 2014, p. 29
  46. ^ 古田 & 古田 2014, p. 189
  47. ^ 東京文化財研究所 2014, p. 239
  48. ^ 『なるほど知図帳・世界2015』昭文社、2015年、p.155
  49. ^ a b 地球の歩き方編集室 2014, p. 272
  50. ^ 佐藤 2006a, p. 4
  51. ^ ICOMOS 2014, p. 46
  52. ^ UNEP-WCMC 2015, p. 8
  53. ^ 佐藤 2006a, pp. 4, 6





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