ウルドゥー文字 デーヴァナーガリーとの違い

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ウルドゥー文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/24 01:45 UTC 版)

デーヴァナーガリーとの違い

ヒンディー語とウルドゥー語は日常語レベルでは同一言語といってよいが、ヒンディー語は左横書きのデーヴァナーガリーで書かれる。デーヴァナーガリーはアブギダであるため、母音の表記方法はまったく異なる。

ウルドゥー文字であらわされる子音のうち、[q x ɣ f z ʒ] は借用語にのみ現れる。デーヴァナーガリーの場合、これらの音をあらわすには、それぞれ k kh g ph j に点(ヌクター)を加えた क़ ख़ ग़ फ़ ज़ を使うが([ʒ] は通常 [z] と区別されない)、実際には点を打たず、k kh g ph j とつづりの上でも音の上でも区別しないことが多い[3]

デーヴァナーガリーにある鼻音字 अं ङ ञ ण (ṃ ṅ ñ ṇ) はウルドゥー文字には存在せず、すべて ن (n) と書く。サンスクリットからの借用語にあらわれる () () はそれぞれ ر (ri) ش (š) と区別せずに書く。例:کرشن (krišn = kr̥ṣṇ, クリシュナ)。デーヴァナーガリーのつづりも、元のサンスクリットの音の区別を保存しているだけで、発音上は区別されない[4]

補助記号

記号 名称
اٙ ɑː alif mad
ء ʔ hamza
ّ (重子音) tašdīd
َ ə zabar
ِ ɪ zēr
ُ ʊ pēš
ۡ - jazm
ً ən tanvīn

ハムザは、母音が2つ続くときに、後ろの母音字の上に置かれる。イザーファト(エザーフェ)を表すときに、読まない ہ で終わる語にはハムザを加える。また、アリフで終わる語にはハムザつきの ی を加える。子音で終わる語では zēr でイザーファトを表すことがある。

子音の後ろに母音が続かないことを示す jazm は、ペルシア文字のものと形が異なる。母音記号や jazm がつけられることは、辞書の中などを除くと、ほとんどない。tanvīn はアラビア語由来の副詞につけられる。

母音の表記

ウルドゥー語には a [ə], i [ɪ], u [ʊ] の3つの短母音と、ā [ɑː], ī [iː], ū [uː], ē [eː], ai [ɛː], ō [oː], au [ɔː] の7つの長母音がある。

語頭の短い母音(a i u)は、ا で表す。語頭の長母音は آ(ā) ای(ī, ē, ai) او(ū, ō, au) を表す。

語頭以外では短い母音は表記されず、長い母音は ا(ā) ی(ī) ے(ē, ai) و(ū, ō, au) と表記する。


  1. ^ Schmidt (2007) p.344 による
  2. ^ a b Schmidt (2007) p.310
  3. ^ 町田 (1999) pp.67-68
  4. ^ 町田 (1999) p.14(), p.23(鼻音), p.42()
  5. ^ Schmidt (2007) p.343


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