ウィング号 (京急)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/24 04:19 UTC 版)
運行概要
運行中の列車
有料座席指定列車「モーニング・ウィング号」「イブニング・ウィング号」と、快特の一部列車に設定される「ウィング・シート」の計3種類の座席指定「ウィング」サービスが設定されており[2]、列車によって運転曜日・方向、停車駅、座席指定制となる車両および区間が異なる。
「モーニング・ウィング号」「イブニング・ウィング号」は、かつては時刻表の種別欄には「快特」(京急ウィング○号)と表記されていたが、現在では種別欄に「ウィング」(モーニング・ウィング○号)(イブニング・ウィング○号)と表記されるようになった。
なお、かつて「京急ウィング号」の運行のみであった頃の種別・行先表示器は、種別表示器に行先を表示し、行先表示器に青緑字で「Wing」(その下に赤字で「ウィング号」)と表示していた。これは2000形時代からのものであったが、後に種別表示器に「Wing」(その下に「ウィング号」)と表示し、行先表示器に行先を表示する方法に改められ、「モーニング・ウィング号」「イブニング・ウィング号」もこちらの方法となっている。なお、「Wing」のロゴは京急ショッピングセンターと同じものを用いている。
モーニング・ウィング号(Morning Wing)
2015年(平成27年)12月7日に運行を開始した。平日朝ラッシュ時に運行される上り列車で、三浦海岸駅・横須賀中央駅 - 品川駅・泉岳寺駅間を京急久里浜線・本線経由で運転される。2023年11月25日ダイヤ改正時点で3本が運転されており、1号は横須賀中央発品川行き、3号は三浦海岸発品川行き、5号は三浦海岸発泉岳寺行きである[2]。いずれも品川駅までが座席指定制となっている[2]。品川駅までの途中停車駅は乗車扱いのみで、品川駅に到着するまで降車できない[2]。号数はかつては発車順に1から順番に付与していたが、2019年10月26日ダイヤ改正からは1・3・5…と奇数を付与している。
泉岳寺行きは終点で京成高砂行きに接続する。
現行ダイヤでは後述の「イブニング・ウィング号」より停車駅が少なく、久里浜線内に通過駅が設定されている唯一の列車であり、京急久里浜駅・堀ノ内駅・金沢八景駅なども通過する。
イブニング・ウィング号(Evening Wing)
1992年(平成4年)4月16日に「京急ウィング号(Keikyu Wing)」として運行を開始した[1]。平日夕ラッシュ時に最も利用の多い時間帯を過ぎた後に運行される下り列車で、品川駅 - 京急久里浜駅・三崎口駅間を京急本線・久里浜線経由で運転される。2023年11月25日ダイヤ改正時点で8本が運転されており、2・4・6号は品川発京急久里浜行き、8・10・12号は品川発三崎口行き、14・16号は品川発金沢文庫行きである[2]。上大岡駅までが座席指定制となっている[2]。品川駅では2 - 12号が行き止まり式の3番線発、14・16号が1番線発となっている[2]。車両は久里浜工場信号所または金沢検車区から回送され、そのまま3番線に入線する。号数はかつては発車順に1から順番に付与していたが、2019年10月26日ダイヤ改正からは「イブニング・ウィング号」に改称した上で2・4・6…と偶数を付与している。
京急久里浜行きは終点で先発する三崎口行きに接続する。三崎口行きは京急久里浜駅で後発の京急久里浜終着列車の接続を受けてから発車する。
特別料金不要列車の最上位種別であるエアポート快特および快特より停車駅が少なく、快特停車駅のうち、京急蒲田駅・京急川崎駅・横浜駅を通過する(14・16号に関しては、快特に併結して運転されるため停車するが、ドアは開かないので乗降できない)。上大岡より先の停車駅は快特と同様である。ただし過密ダイヤにより所要時間は同一時間帯の快特とほぼ同等で、先行列車に接近して運転する時間が長い。最高速度は横浜以北でも110 km/hに抑えられており、遅延回復時以外120 km/h運転は行わない。なお前述したように、京急線で運行される一般の快特とは停車駅が異なるが、正式な列車種別としては、同様に「快特」となっている。そのため公式ホームページの時刻表においては、座席指定券が必要な品川駅では「イブニング・ウィング」となっているが、それ以外の座席指定券が不要な駅では「快特イブニング・ウィング」となっている。
事故や災害などで大幅な遅延が発生している場合、また並行するJR東海道線系統の運転見合わせ、ダイヤ乱れ発生による振替輸送の依頼を受諾した場合は、運転を取りやめ、「イブニング・ウィング号」用の車両を青物横丁駅および平和島駅に臨時停車する快特列車として運転することがある。
ウィング・シート(Wing Seat)
2019年(令和元年)10月26日に設定を開始した有料座席指定サービス。2023年11月25日ダイヤ改正時点で土休日の日中に泉岳寺駅 - 三崎口駅間で運行される快特のうち、上り7本、下り8本に設定されている[2]。快特列車の2号車を座席指定制とするもので、上り列車では三崎口駅 - 上大岡駅間、下り列車では泉岳寺駅 - 上大岡駅間の快特停車駅で乗車可能[2]。一方で降車はすべての快特停車駅で可能。2号車にはウィング・アテンダントが添乗し、乗車駅で座席指定券の検札を行う。号数は上りが51・53・55…と奇数を付与し、下りが52・54・56…と偶数を付与している。
もともとは後述の「ホリデー・ウィング号」とともに、2018年9月22 - 24日、10月6 - 8日、2019年4月28・29日、5月4・5日、9月14・15日、10月12・13日の期間限定で、品川駅 - 三崎口駅間で運行される快特のうち、下り2本に設定されていた。上大岡駅まで2号車が指定席となり、指定席には京急川崎駅または横浜駅から乗車できた(品川駅 - 京急川崎駅間空車扱い)。また金沢文庫駅までは品川駅寄りに付属編成4両(3ドア車)を増結し12両編成で運転された。なお号数の設定はなかった[3]。
停車駅
運行中の列車のみ記載。
列車名/駅名 | 指定席 | 運転曜日・方向 | 泉岳寺駅 | 品川駅 | 京急蒲田駅 | 京急川崎駅 | 横浜駅 | 上大岡駅 | 金沢文庫駅 | 金沢八景駅 | 横須賀中央駅 | 堀ノ内駅 | 新大津駅 | 北久里浜駅 | 京急久里浜駅 | YRP野比駅 | 京急長沢駅 | 津久井浜駅 | 三浦海岸駅 | 三崎口駅 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
モーニング・ウィング | 全車 (品川駅まで) |
平日上り | ○ | ● | ← | ← | ← | ◎ | ◎ | ← | ◎ | ← | ← | ← | ← | ← | ← | ← | ◎ | 1号は横須賀中央発品川行き 3号は三浦海岸発品川行き 5号は三浦海岸発泉岳寺行き | |
イブニング・ウィング | 全車 (上大岡駅まで) |
平日下り | ◎ | → | → | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | 2・4・6号は品川発京急久里浜行き 8・10・12号は品川発三崎口行き 14・16号は品川発金沢文庫行き(前寄りの快特に併結) | |
ウィング・シート | 2号車 (全区間) |
土休日上り | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ◎ | 「快特」として運行 2号車以外は全ての停車駅で乗降可能 |
土休日下り | ◎ | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
- 記号凡例
- ●:停車(乗降可能)
- ◎:停車(乗車専用)
- ○:停車(降車専用)
- ←・→:矢印の方向に通過
運行実績のある列車
ハイキング特急
1952年(昭和27年) - 1965年(昭和40年)の春と秋の行楽シーズンの間、品川駅 - 浦賀駅・逗子海岸駅(現:逗子・葉山駅の一部)・京浜久里浜駅(現:京急久里浜駅)間で運行された列車。ハイキング特急には大きく分けて、1.バスによる三浦半島への周遊を目的としたもの(同一列車名で下り終着駅と上り始発駅が異なる)、2.浦賀または久里浜で金谷航路への連絡を目的としたもの、3.原則として下りのみ営業運転するもの(上りは回送)があり、1.と2.は全車指定席、3.は全車自由席であった。
運転区間および途中停車駅は列車によって異なるが、原則として途中停車駅は京浜川崎駅(現:京急川崎駅)と横浜駅のみであった。
週末特急ラ・メール号(La Mer)、パルラータ号(Parlata)
1956年(昭和31年)3月8日 - 1968年(昭和43年)6月14日の間、品川駅 - 浦賀駅・三浦海岸駅間で運行された列車。毎週土曜日に1日2往復運転され、それぞれ「ラ・メール号」(フランス語で「海」)、「パルラータ号」(イタリア語で「語らい」)と名付けられた。
途中停車駅は京浜川崎駅(現:京急川崎駅)、横浜駅、金沢文庫駅、横須賀中央駅、京浜久里浜駅(現:京急久里浜駅)、野比駅(現:YRP野比駅)、京浜長沢駅(現:京急長沢駅)、津久井浜駅であった。
当初は全車自由席であったが、1964年2月1日から一部車両が指定席となった。
快速特急南房総号
1968年(昭和43年)6月15日の快速特急運転開始と同時に、一部車両が指定席となる快特が運行された。
当初は愛称が設定されていなかったが、1972年(昭和47年)9月3日に「南房総号」の愛称が設定された。同時にそれまで3往復設定されていた快特「マリンパーク号」の愛称も「城ケ島号」「南房総号」「油壺マリンパーク号」に変更されたが、こちらは全車自由席だった。そのため、一部指定席の「南房総号」と全車自由席の「南房総号」が混在していた。
ホリデー・ウィング号(Holiday Wing)
前述の「ウィング・シート」とともに、2018年9月22 - 24日、10月6 - 8日の期間限定で、品川駅 - 三浦海岸駅間で運行された臨時列車。下り1本が設定され、途中停車駅は横浜駅(乗車専用)のみであった。乗車には事前申込の場合は座席指定券(座席指定制)、当日発売の場合は着席整理券(座席定員制)が必要となっており、車内は1 - 3号車が品川駅からの事前申込、4・5号車が品川駅からの当日発売、6 - 8号車が横浜駅からの事前申込という座席区分になっていた。なお号数の設定はなかった[3]。
種別・行先表示には、種別表示器は黒幕(無表示)、行先表示器に「貸切」と表示していた。また前面には「ホリデー・ウィング号」と書かれたトレイン・マークが掲示された。
注釈
- ^ 当時三崎口駅発着の快速特急は1往復のみ(該当列車は「マリンパーク号」と呼ばれていた)で、それ以外の快速特急は京急久里浜駅発着であった。なお、三崎口発着の快速特急は1996年以降に順次増発している。
出典
- ^ a b c d e ““着席特急”デビュー 京浜急行「ウイング号」出発式”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1992年4月18日)
- ^ a b c d e f g h i “座席指定ウィングサービス”. 京浜急行電鉄. 2023年11月25日閲覧。
- ^ a b c 『秋の行楽シーズンに「ホリデー・ウィング号」を期間限定で運行します。』(プレスリリース)京急電鉄、2018年9月6日 。2018年10月19日閲覧。
- ^ a b 『「モーニング・ウィング号」と下り「ウィング号」がさらに便利に! 5月1日(月)から京急初の座席指定制列車に変わります 座席指定券購入サイト「KQuick」は3月28日(火)オープン』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2017年2月23日。 オリジナルの2017年2月23日時点におけるアーカイブ 。
- ^ “京急線ダイヤ改正2022”. 京浜急行電鉄. 2022年11月21日閲覧。
- ^ (2021年5月6日から)ウィング号時刻表
- ^ “2021年京急線ダイヤ改正について”. 京浜急行電鉄 (2021年1月27日). 2021年2月9日閲覧。
- ^ a b “待たずに座って帰宅京急ウイング号 来月16日から運転”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1992年3月31日)
- ^ a b c d 京急ウィング号(京浜急行電鉄ホームページ・インターネットアーカイブ・1999年時点の版)
- ^ “5月16日(日)ダイヤ改正を実施します”. (プレスリリース),京浜急行電鉄. (2010年5月7日) 2014年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 「モーニング・ウィング号」12月から運転 京急 - 2015年9月11日、StartHome
- ^ 『12月7日(月) 京急線平日ダイヤ改正 都心方面への通勤がより快適に 朝の上り「モーニング・ウィング号」運行開始 夕方の下り「ウィング号」乗るほどお得な優待制度がスタート』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2015年11月4日。 オリジナルの2015年11月7日時点におけるアーカイブ 。2020年2月14日閲覧。
- ^ “10月3日(月)から「モーニング・ウィング号」の発売座席数と乗車車両を変更いたします。”. 京浜急行電鉄 (2016年8月22日). 2016年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月30日閲覧。
- ^ 『11月19日(土)京急線ダイヤ改正~下りウィング号運行時間拡大!品川23:00発誕生~』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2016年9月26日。 オリジナルの2016年9月30日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 『座れる通勤列車「モーニング・ウィング号」増発!「ウィング・シート」サービスも提供開始』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2019年8月29日 。
- ^ 『お知らせ 京急線ダイヤ改正(詳細版)』(プレスリリース)2019年9月26日 。2019年10月18日閲覧。
- ^ モーニング・ウィング1号 12月2日(月)から運転開始
- ^ 『京急線ダイヤ改正を実施します』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2021年1月27日 。2021年1月27日閲覧。
- ^ 『2022年2月26日(土)土休日ダイヤ・2月28日(月)平日ダイヤ 京急線ダイヤ改正を実施します』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2022年1月25日 。
- ^ 『11.26 京急線が23年ぶりの大幅ダイヤ改正を実施します』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2022年10月24日 。
- ^ 『2023年11月25日(土)土休日ダイヤ・11月27日(月)平日ダイヤ 京急線ダイヤ改正を実施します』(プレスリリース)京浜急行電鉄、2023年10月24日 。
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