アドラー心理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 02:49 UTC 版)
その他のアドラー心理学の重要な用語
器官劣等性・劣等感・劣等コンプレックス
現在のアドラー心理学では、器官劣等性、劣等感、劣等コンプレックスを次のように区別している。
- 器官劣等性(Organ Inferiority)
- 身体機能等について、客観的に劣っていること。例えば、弱視という器官劣等性がある場合、その人は、その器官劣等性を巡って人生上何らかの決断を迫られる。
- 劣等感(Inferiority feelings)
- その人が主観的に「自分は劣っている」と感じること。
- 劣等コンプレックス(Inferiority complex)
- 劣等感を使って、ライフタスクから逃れようとすること。例:自分は頭が悪いので勉強をしても無駄だ。
勇気づけ(Encouragement)
その人が、その人の日常生活における困難を解決するよう援助することを勇気づけという。したがって、勇気づけることの目的は、相手が自分の日常生活の困難を解決すべく行動するようになることであって、相手の気分をよくするということではない。
自助グループ(Self-help group)
アドラー心理学では、アドラーの時代から、教師や親など非専門家を中心とした自助グループ(セルフヘルプ)活動が盛んだった。それは、アドラー心理学を学ぶには、
- 著作などを読書したり、講座などを受講して、いわゆる座学すること。
- 学んだことを実践すること。
- 自分の学んだこと、実践について、仲間と議論すること。
の3つをバランスよく継続することが重要だと考えられているからである。
日本では自助グループ活動が盛んである。
批判
アドラーと交流のあった科学哲学者のカール・ポパーはアドラー心理学は疑似科学を伴った理論であると批判している。 1919年のある時、ポパーは小児患者の症例をアドラーに報告した。しかし、アドラーはその患者を診た事さえないのに、自分の劣等感理論によってその事例を事も無げに分析してみせたという。ポパーによれば、アドラー心理学のように、どんな事例も都合よく解釈でき、反証可能性の無い理論はニセ科学である。これがアインシュタインの相対性理論のような本物の科学とは異なる点だと追及した[6]。
脚注
- ^ For a long time now I have been convinced that all questions of life can be subordinated to the three major problems ― the problems of communal life, of work, and of love.
- ^ Social interest is not inborn[as a full-fledged entity], but it is an innate potentiality which has to be consciously developed.
- ^ アドラー心理学とは 日本アドラー心理学会
- ^ “「アドラー心理学」超入門 10分でわかる、心が軽くなる! | 岸見一郎さんに聞きました” (日本語). クーリエ・ジャポン (2014年9月1日). 2019年9月13日閲覧。
- ^ 野田俊作 (精神科医・心理学者)『アドラー心理学を語る3 劣等感と人間関係』創元社P160 岸見一郎氏寄稿 野田先生と私より
- ^ “早稲田大学心理学会 瓦版 第29号 (2016年 3月発行) アドラー心理学入門”. 2022年5月27日閲覧。
- ^ a b HEINZ L. ANSBACHER & ROWENA R. ANSBACHER(1956). "THE INDIVIDUAL PSYCHOLOGY OF ALFRED ADLER", New York : Haper & Row, Publishers, Inc.
- ^ 『推測と反駁』カール・R・ポパー著, P.60-62
- 1 アドラー心理学とは
- 2 アドラー心理学の概要
- 3 思想
- 4 その他のアドラー心理学の重要な用語
- 5 関連項目
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