B3 とモジュラー群の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 09:27 UTC 版)
「ブレイド群」の記事における「B3 とモジュラー群の関係」の解説
ブレイド群 B3 はモジュラー群 PSL(2, Z) の普遍中心拡大(英語版)(universal central extension)であり、(位相的な)不変被覆群 S L ( 2 , R ) ¯ → P S L ( 2 , R ) {\displaystyle {\overline {\mathrm {SL} (2,\mathbf {R} )}}\to \mathrm {PSL} (2,\mathbf {R} )} の中の格子として実現される。 さらに、モジュラー群は自明な中心を持ち、モジュラー群はその中心 Z(B3) を modulo とする B3 の商群である。同じことであるが、B3 の内部自己同型(inner automorphism)群と同型である。 ここで、この同型を構成する。 a = σ 1 σ 2 σ 1 , b = σ 1 σ 2 {\displaystyle a=\sigma _{1}\sigma _{2}\sigma _{1},\quad b=\sigma _{1}\sigma _{2}} と定義する。ブレイド関係式より、a2 = b3 であることが従う後者の積を c で表すことにすると、c が B3 の中心の中に含まれることを意味するブレイド関係式 σ 1 c σ 1 − 1 = σ 2 c σ 2 − 1 = c {\displaystyle \sigma _{1}c\sigma _{1}^{-1}=\sigma _{2}c\sigma _{2}^{-1}=c} を得ることが分る。C を c により生成された B3 の部分群とすると、C ⊂ Z(B3) であるので、この群は正規部分群であり、商群 B3/C をとることができる。B3/C ≅ PSL(2, Z) であることが分り、この同型は明確な形で表すことができる。剰余類 σ1C と σ2C は次のように写像される。 σ 1 C ↦ R = [ 1 1 0 1 ] σ 2 C ↦ L − 1 = [ 1 0 − 1 1 ] {\displaystyle \sigma _{1}C\mapsto R={\begin{bmatrix}1&1\\0&1\end{bmatrix}}\qquad \sigma _{2}C\mapsto L^{-1}={\begin{bmatrix}1&0\\-1&1\end{bmatrix}}} ここに、L と R は標準的なスターン・ブロコット木(英語版)(Stern-Brocot tree)の上の左と右の移動である。これらの移動はモジュラー群を生成することがよく知られている。 言い替えると、モジュラー群の共通な表示(presentation)は、 ⟨ v , p | v 2 = p 3 = 1 ⟩ {\displaystyle \langle v,p\,|\,v^{2}=p^{3}=1\rangle } であり、ここに、 v = [ 0 1 − 1 0 ] , p = [ 0 1 − 1 1 ] {\displaystyle v={\begin{bmatrix}0&1\\-1&0\end{bmatrix}},\qquad p={\begin{bmatrix}0&1\\-1&1\end{bmatrix}}} である。 a から v への写像と b から p への写像は、全射群準同型 B3 → PSL(2, Z) である。 B3 の中心は、C に等しく、c が中心に含まれるという事実の結果であり、モジュラー群は自明な中心を持ち、上の全射準同型は核 C を持つ。
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