A連星系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 07:09 UTC 版)
β1星(β星A)は、それ自身が、約4″離れたK3II型巨星の主星AaとB9V型主系列星の伴星Acからなる連星である。 原則として、Aがさらに連星の場合、主星はAa、伴星はAbとなるが、この伴星はAcと呼ばれている。それは、先に発見が報告された別の伴星がAbと名づけられたからである。Abは1978年の観測に基づき1980年に発表され、Acは1976年の観測に基づき1982年に発表された。Abの発見報告は1978年と1995年の観測による2回のみであり、現在は存在を認められていない。 なおCCDM(英語版)は、伴星(Ac)をCとしている。ただし現在の原則では、Cという符号はABの外側の星に使うことになっている。ワシントン重星カタログは、伴星をAcとし、約1′離れた(Bより少し遠い)11等星をCとしている。 AaとAcは1923年にヘンリー・ドレイパーカタログに登録され、それぞれHD 183912とHD 183913という名称が付与された。1979年、C.E.ウォーレイはアメリカ海軍天文台の66cm望遠鏡を使い、主星から0.40秒角離れた位置に主星より1.5等級暗い星を確認している 。なお、今日では補償光学により主星と伴星の分離が可能となっている。 AaとAcの公転軌道については、伴星の発見以来まだ軌道を1周していないため不確実性が大きく、2008年に出された214年周期説と、2018年に出された69年周期説とがある。しかし、214年周期からはAa+Acの質量が5.7+3.3太陽質量と求まるのに対し、69年周期からだと合計87太陽質量という重すぎる値となってしまう。さらに、ヒッパルコスとガイアで計測された固有運動から、Aaの軌道がAcの軌道より大きい、つまりAaはAcより軽いという可能性が出てきた(主星か伴星かは明るさで決まるため、主星が伴星より軽いということ自体は希にある)。その計算によると、Aaの質量推定として妥当なのは0.3太陽質量で、上限でも0.75太陽質量となる。この結果は驚くべきことであるので、Aaが質量を失った、星系内にブラックホールが存在するなどの可能性も考察されている。
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