音楽的時間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/01 16:33 UTC 版)
「音楽的時間(le temps musical)」は、ブルレの思想の中核をなす概念であり、主著のタイトルともなっている。 ブルレはベルクソンと共に、日常的な時計の時間は、時間を計量可能なものとして扱う量的な時間であり、このような量的な時間は、本来の時間ではなく空間化された時間であり、音楽の生き生きとした持続を切断してしまうと批判している。 このような量的な時間に対し、ベルクソンは意識に直接的に与えられるような質的な時間である純粋持続(la durée)を対置させており、ブルレもこれに一定の価値を認めている。しかし、ブルレは純粋持続をも不十分なものと主張し、この点においてベルクソンと立場を異にする。ブルレにおいては、純粋持続の持つ流動性は音楽の形式を破壊してしまう力を持つとされ、これにとどまるのは危険とされる。 ここにおいてブルレは「音楽的時間」の必要性を説く。このとき、「音楽的時間」は空間化された時間と純粋持続という両者を止揚したものであり、純粋持続に精神の能動的な働きによって形式を与えた時間でもあるとされる。この「音楽的時間」は音楽に固有の時間であり、この特殊な時間性において、音楽は他の芸術に対して優越性を持つとされる。
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