記者クラブ(きしゃくらぶ)
政府や官公庁などに活動の拠点をもち、取材を進めるために組織されている。記者クラブで発表された情報が、新聞やテレビのニュースとして報道される。
記者クラブ制度は、新聞社や放送局の記者たちが集まって、政府などの関連機関に会見を開くように団体として申し入れるものだ。記者会見で得た情報は、新聞やテレビのニュースとして私たちのところまで届く仕組みとなっている。
記者クラブを組織する最大の理由は、他社の出し抜けを許さないところにある。スクープの報道で他社が優位に立つことを嫌い、取材源(ニュースソース)を平等に配分しようとする。その結果、記者クラブを通じて報道されるニュースは、どの社も画一的な内容となる傾向がある。
ただ発表を待つだけといった取材姿勢では、ジャーナリズムとしての存在意義が問われることにもなりかねない。このほかにも、記者クラブに加入していないと記者会見での取材活動を拒否される。このような排他性・閉鎖性は、日本独自の報道システムとして存在する記者クラブ制度の弊害だとも言える。
長野県の田中知事は、2001年5月に「脱・記者クラブ」宣言を表明し、県庁内の記者クラブに退去を通告した。そして、県の各種発表や知事会見のさい、すべての「表現者」に記者会見への参加を可能にする道を開いた。
(2001.09.06更新)
記者クラブ
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記者クラブ(きしゃクラブ)は、公的機関や業界団体などの各組織の継続取材を目的とするために大手メディアが中心となって構成されている任意組織(記者クラブ一覧)。英語では「Kisha club[1][2][3]」ないしは「kisha kurabu」と表記される。大手メディア以外の記者・ジャーナリストも加盟できる「プレスクラブ」(日本では、社団法人である日本記者クラブや、日本外国特派員協会などが該当)とは全く性格を異にし、日本、ガボン、ムガベ政権下のジンバブエ独特のシステムと言われ、フリーランスなどに対し排他的であるとして近年、批判を受けている[4]。
注釈
出典
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記者クラブ
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東証内にある記者クラブとして、兜倶楽部(かぶとくらぶ)がある。 決算シーズンに主に発表される資料業績予想の修正 決算短信
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