著作権侵害と博士学位の取り消し
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「渡辺真由子」の記事における「著作権侵害と博士学位の取り消し」の解説
2018年11月28日、株式会社勁草書房は、渡辺の著書『「創作子どもポルノ」と子どもの人権』に、「編集過程で原典の確認を怠ったミス」により「無断転載の事実が判明」したとして、同著の絶版・回収処置を取ることを公式HPにて発表した。同社によると11月にSNS上で同著での無断転載に関する指摘を発見。確認の結果、別の著者の論文から許可なく転載したとみられる表現が、本のほぼ1章分に相当する範囲で見つかった。該当箇所は、全7章の中の第6章であった。外国の事例に関する論文をかなりの文量で転載しており、同社編集部はこれを引用とはいえず、無断転載に当たると判断した。改訂版を出す予定はない。同著に無断転載されたのは、間柴泰治の論文『日米英における児童ポルノの定義規定 調査と情報681号』などであった。 2018年11月28日、渡辺は自身のブログで「出版社側との編集過程における齟齬により、一部に無断転載と受け取られる記述が存在していたことが明らかになりました。当方と致しましては、無断転載の意図は一切ございません。」とし、「結果的にこのような形で出版がなされたことにつきまして、慚愧に堪えない思いです。」とコメントした。 2018年12月11日、朝日新聞は、慶應義塾大学内で渡辺の論文に関する調査委員会を設置したと報じた。同大学広報室によると調査対象になっているのは、渡辺が16年度に提出した博士論文『児童ポルノ規制の新たな展開』。同論文を元に出版された著書の絶版・回収が決まったとの報道を受けての対応であり、博士号を出した大学院政策・メディア研究科を中心に調査を始めたと述べている。 2019年3月20日、慶應義塾大学は「当該学位論文に先行研究の成果に関する適切な表示を欠く流用が含まれていた」として、渡辺真由子の博士号を取り消すことを発表した。これに対して渡辺は故意ではないとした上で調査委員会に疑念を呈し、大学側の対応はアカデミックハラスメントに当たる可能性があると、不服申し立てを行なったが、却下された。 社会・文化史研究家の三橋順子は本件に対して、明白な盗用であり、大規模で悪質な剽窃であると批判している。
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