良いデフレと悪いデフレの区別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 16:28 UTC 版)
「良いデフレ論争」の記事における「良いデフレと悪いデフレの区別」の解説
日本では、デフレーションを単に物価が下落基調を続けることという意味だけではなく、景気後退と物価下落が同時に起こることという意味で使われる場合が多かった。このため、当時のデフレ論争には議論の混乱が見られた。良いデフレ論争は、物価下落が景気の悪化を伴うものなのか、景気の悪化を伴わないのかによって、基調的な物価下落というデフレを分類して議論しようとしたものである。 デフレは物価水準が持続的に低下する現象であるが、実質GDPの順調な拡大など経済の量的な拡大を伴う場合には、必ずしも悪いものだけではないとする立場。需要曲線上の需要量が左下に移動する場合には、供給量は均衡点における量になっているにもかかわらず、価格は下落すると同時に量の減少が起こる(新しい需要量に合わせた均衡点にシフトしない)。これは典型的な需要不足によるデフレであり、経済や社会に悪影響を及ぼすものである。しかし一方、生産性の向上などによって、供給曲線が右下に移動する場合、均衡点は右下に移動し、量の拡大を伴って価格が下落する。こうした場合には、価格が下落するのでデフレではあるが、これは良いものであるとする。 生産性の向上によって価格が下落するのは、例えば、技術革新によってパソコンの価格が急速に下落し、一方で急速に普及率が高まっていったケースが挙げられる。このように生産性の上昇、新製品の普及率の高まりに伴って価格の下落と生産量の拡大が同時に起こることは広く見られる現象である。液晶テレビやハードディスク付きDVDレコーダーなどの耐久消費財の価格下落が問題であるとは考えられないように、量の拡大を伴う価格下落は悪いものではないという立場。 デフレかどうかの判断を景気動向と切り離し、物価水準の持続的な下落が起こることと定義した上で、実質GDPの順調な拡大など経済の量的な拡大を伴うものであれば良性とし、逆に、経済成長率の低下など経済の量的拡大の鈍化を伴うものであれば悪性と分類した。 毎日新聞は「物価はもっと下がっていい」「消費者の間でも安くて、いいものを買うという行動が定着してきた。こうしたことが、どうしてデフレなのか」と論じた。
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