群れの運営
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 05:54 UTC 版)
社会性昆虫の多くでは、生殖虫(ハチの女王、シロアリの王と女王)は最終的に繁殖のみを行い、それ以外のすべての作業はワーカー(働き蜂や働き蟻)が行う。ただし、生殖虫のみが越冬できるスズメバチなどでは、巣の初期には生殖虫が巣造りから食糧調達まですべて行い、ワーカーが羽化してからは巣に留まって繁殖に専従するようになる。シロアリでは、巣がそもそも餌である材木内に作られるものもあるが、熱帯地方では巣外に餌を求めるものも多い。そのような場合、多数の個体が同一の餌場に出かけ、巣に戻るのには目印として足跡フェロモンを使う例が多い。ミツバチでは、餌の位置を他個体に知らせるために8の字ダンスを踊ることが知られている。 ワーカーの役割としては餌運びの他に、巣の維持管理や幼虫や生殖虫の世話などがある。 生殖個体が巣に1個体(あるいは1ペア)である種では、生殖虫が死亡した場合、巣内の幼虫から生殖虫の候補が出現する例があり、補充生殖虫などと呼ばれる。それらのうちの1個体が新たな生殖虫となると、他のものは殺される。これは、生殖虫がフェロモンを出し、自分以外の生殖虫の出現を抑制しているものである。これらの昆虫の多くでは、口移しに餌を与えあったりする行動が日常的に行われ、それによってフェロモンの伝搬も行われているらしい。なお、トビイロシワアリのように、多雌性(コロニー内にもともと生殖個体が複数居る)かつ多巣性で数万~数十万の大規模なコロニーをつくる種類もある。
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