第三者の憲法上の権利の主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:48 UTC 版)
「憲法訴訟」の記事における「第三者の憲法上の権利の主張」の解説
適用される法令や処分が訴訟外の第三者の権利を侵害するとして、訴訟において違憲性を主張できるかという問題がある。そもそも、そのような主張をすることは他人の権利に干渉することに繋がるため、原則として許されないということになるが、違憲の主張をする当事者と第三者との関係や第三者が別の訴訟で違憲性を主張することの可能性を考慮し、場合によっては第三者の権利の主張を認めるべきとする見解もある。 この点については、関税法違反により起訴された被告人が、有罪判決とともに附加刑として第三者所有物の没収刑が言い渡されたために、第三者の財産を適正手続によらずに剥奪するものであるとして上告された事案につき、最高裁判所は、「かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であつても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然である。のみならず、被告人としても没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用、収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべきである。」と判示して、第三者の権利侵害の主張を認められる場合があることを示した(最大判昭和37年11月28日刑集16巻11号1593頁)。
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