直接に数えられる場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/08/22 13:37 UTC 版)
直接にその数を数えられるなら、その方がよい。上記のように、その数を数えるのが簡単でない場合が多いが、逆に言えば、ある条件が整っていれば、その数を数え切れる場合もある。例えばその生息範囲が非常に狭く、その場所の見通しがよければ全部数えるのはそれほど難しくない。これに相当するのは、例えば小さな島の樹木とか、身を隠すことができないほど大きい動物の場合である。 前者の例では、たとえば小笠原諸島の固有種のムニンツツジは、現在では父島の山頂部に数株を残すのみであり、そこへ行って数えれば全個体数はあっと言う間に数えられる。 後者の例としてジャワサイは現在50頭といわれ、最少時には1967-68年には25頭であったとされている。いずれも限られた面積に、それも少数だけが存在するからこそできることではある。大きな動物でなくても生息域の中の限られた環境に巣を作る動物の場合、非常に見通しよく個体数を数えることができる。離島に営巣するアホウドリの場合も、繁殖年齢に達した成鳥と親の世話を受けている幼鳥は、容易に全数を数えることができる。 また少々見通しが悪くても、個体識別が可能であれば、個体情報のデータを積み上げることで、個体の全数を得ることができる。霊長類の研究では個体識別を行うことで、個体間の社会的な関係を追跡するが、同時にそれによって研究対象個体群の全個体数も判明していることになる。ザトウクジラやシャチのように斑紋やプロポーションの個体差が大きなクジラでは遠くからでも個体識別が可能で、一部の個体群ではそれによって個体ごとの情報が膨大に蓄積されている。 数えるのが容易い例の一つとして、ハンミョウの幼虫は裸地の地表に恒久的な巣穴を掘って生活するため、パッチ状に幼虫の生活に適した環境が存在する場合は巣穴をすべて数えつくせばよい。たとえばお墓の周りの裸地などにそのような生息地があり、そこでは見渡して巣穴を数えることが可能である。ただし、ある地域の個体数、となると、その地域にこのような場所がどれくらいあるか、というのが難しい問題となろう。
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