個体数推定
個体数推定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 23:05 UTC 版)
ある生物が、実際にどれだけの個体数があるのかを知ることは、野外では意外に困難なものである。それを行うことを個体数推定という。 全体を肉眼で確認できる場合でも、物陰に隠れる個体を探したり、移動によって同じ個体を複数回数えるなど、間違いの生じる原因は数多い。実際には見えないことの方が多いから、推定するにも特別な方法をとらなければならない。 たとえば湖のある種の魚がどれだけ生息しているかを考えてみる。一番確かなのは水を抜くなりして、間違いなく全個体を確認することである。しかし、それが可能な場所は少ないし、その場合でも、攪乱がひどくて、継続調査をすることができなくなるだろう。 比較的小さい湖で、地形が複雑でなく、条件が一様ならば、網ですくうことで、一定割合の個体を捕獲できるかもしれない。その場合、捕獲率がわかれば、そこから全個体数の推定ができる。 もし、捕獲率がわからなくても、繰り返し捕獲することで、推定が可能である。同じ網を使えば、全個体に対する捕獲率はほぼ一定のはずで、捕獲した魚を別の池にでもおいておけば、捕獲するたびに母集団が減少するから、捕獲数は減少する。この減少割合から、全個体数の推定ができる。 捕獲したものをまた湖に戻さなければならない場合、何らかの標識をつけてから湖に戻すことで、推定できる方法もある。次回の捕獲時に、標識をつけたものがどれだけ混じっているかがわかれば、前回の捕獲数から全個体数が推定できる理屈である。この方法は、標識再捕獲法と呼ばれ、様々な場面で利用される。 その他、対象に応じて、様々な推定方法があり、どれが使えるかは、慎重に判断しなければならない。標識法は、その中では重要な技法で、捕獲した全個体それぞれ別々の標識をつければ、個体識別できるので、より多くの情報が入手できる。
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