炭素14の生成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 18:44 UTC 版)
炭素の放射性同位体;14Cの生成量も、太陽活動に関係している。炭素14は、上層大気の窒素14が宇宙線の荷電粒子によって「爆撃」され、一般的に存在する炭素の同位体12Cより重い不安定な原子量14の炭素に変換することによって生成されている。逆説的ではあるが、太陽活動が活発化すると、強力な電離放射線源でもある太陽風の影響で却って宇宙線の到達量が減少するため、14Cの生成量も減少する。これは、宇宙線が太陽系外から到達する際、太陽磁気圏に沿って放射される太陽風によって部分的に排除されてしまうからだとされる。したがって、太陽活動の変化と宇宙線の強度に関連する炭素14の生成量は反比例する。 よって、大気中には、黒点数の多い極大期、14Cの存在比が少なく、黒点極小期は14Cの存在比が高くなる。樹木は成長にする際、14Cを取り込むため、冬ごとに刻まれる年輪を調べることにより残存する放射性炭素から生成量を年代ごとに計測することができる。過去10,000年に亘る記録を紐解いた結果、14Cの生成量は完新世中期の7000年前に最も高く、それから約千年掛けて減少したことが判明した。また太陽活動の変化と炭素14の生成量の長期間の傾向、また地球磁気圏の変動の影響と、生物圏における炭素サイクルの変化 (特に最後の氷期以後の植物群の変化に関連づけられたもの) も見出された。
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