消防査察の指摘を無視
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
「千日デパート火災」の記事における「消防査察の指摘を無視」の解説
本件火災発生の1年前(1971年5月)、千葉市の田畑百貨店で閉店後の深夜に火災があったことをきっかけに、消防当局は商業施設閉店後の防火区画シャッターやエスカレーターの防火カバーシャッターを閉鎖するように指導方針を大きく変更した。それにともない大阪市消防局は、1971年(昭和46年)5月25日と26日に管内の百貨店や商業施設に対して夜間査察を実施した。同時に南消防署も管内の百貨店などに対して特別点検を実施した。大阪市消防局と南消防署は、査察と点検の結果を各施設の関係者を集めて報告し、同時に説明会も行った。そこには千日デパート管理部管理課長も出席していた。同デパートについて市消防局と南消防署が指摘した内容は以下のとおりである。 2階F階段・吹き抜け閉鎖用の横引きシャッターが故障していて使えない状態であり、閉鎖できるように修理すること。 各階フロアの防火区画シャッターのシャッターラインが確保されていない箇所があり、改善すること。 閉店後に各階フロアの防火区画シャッターおよびエスカレーター開口部と各階段出入口の防火シャッターを閉鎖すること。 消防当局の査察の結果を受けて管理課長は、各テナントの協力を得てシャッターラインの確保は実施したが、2階F階段横引きシャッターの修理と閉店後の防火区画シャッターの閉鎖については実行しようとせず、消防署の指導を無視した。2階F階段シャッターの故障については、消防当局から再三にわたり改善を指導されており、1970年(昭和45年)12月にも管理課長は南消防署から同シャッターの故障について指摘されていたが、そのことを上司に報告するも、何も改善されなかった。その後も一向に改善も修理もされず、火災発生日を迎えた。防火設備の設置に関する中途半端な対応の例として、熱式感知器は一部の階を除いて設置されていたが、火災延焼階である2階ないし4階にだけは取りつけられていなかった。
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