海流の変動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 15:02 UTC 版)
古気候レジームの一因となるもう一つの重要な要因は海流の変動で、海流は大陸の位置、海水準及び塩分濃度、その他の要因によって変動する。海流には気候を冷却する能力(例:南極氷床の形成を促進する)と加熱する能力(例:冷帯気候とは対照的にブリテン諸島を暖める)がある。およそ300万年前のパナマ地峡の閉塞により、熱帯の大西洋と太平洋の間の海水の交流・交換が止まり、現在の北アメリカを覆う強い氷河作用の時代の到来を告げることとなった。 海流の変動によって最近の氷期振動をうまく説明できると示唆する分析結果もある。最終氷期の間、主として北半球の氷床では、海水準は20–30 m変動し、海水が隔離された。氷が集まり、海水準が十分に下がると、ベーリング海峡を通る流量は減少し、北大西洋からの流量が増大する結果となった。これは大西洋の熱塩循環を再編成し、北極地方への熱輸送量を増加させ、極地に蓄積された氷を融解して他の大陸氷床を減少させた。これによる海水の放出によって海水準は再び上昇し、北半球の氷床の蓄積に付随して、太平洋からの冷たい海水の進入が取り戻された。
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