正式定義に向けて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/18 13:52 UTC 版)
太陽系外縁天体の分類については、国際的に合意された正式な定義はなく、境界はしばしば不明瞭で、共鳴の概念についても正確に定義されていない。 黄道深部サーベイ(Deep Ecliptic Survey)は、4つの木星型惑星からの摂動下での長期的な軌道の統合に基づく正式な分類を導入した。 一般的に、平均運動共鳴は次のような軌道周期のみを含むものではなく p ⋅ λ − q ⋅ λ N {\displaystyle {\rm {p\cdot \lambda -{\rm {q\cdot \lambda _{\rm {N}}}}}}} (pとqは小さな整数値、λとλNはそれぞれ天体と海王星の平均黄経)、近点黄経や交点黄経も含む。 小さな整数値p、q、n、m、r、sに対し、以下の式で定義される引数が振動すれば、その天体は共鳴にある。 ϕ = p ⋅ λ − q ⋅ λ N − m ⋅ ϖ − n ⋅ Ω − r ⋅ ϖ N − s ⋅ Ω N {\displaystyle \phi ={\rm {p\cdot \lambda -{\rm {q\cdot \lambda _{\rm {N}}-{\rm {m\cdot \varpi -{\rm {n\cdot \Omega -{\rm {r\cdot \varpi _{\rm {N}}-{\rm {s\cdot \Omega _{\rm {N}}}}}}}}}}}}}}} ここで、 ϖ {\displaystyle \varpi } は近点黄経、 Ω {\displaystyle \Omega } は昇交点黄経である。(添え字Nが付されたものは海王星の、添え字の無いものは小天体の値である)。 ここでの振動(libration)という用語は、周回(circulation)が0°から360°の全ての値を取るのに対して、おおよそ一定の値の角度での周期的な振動(oscillation)を意味する。例えば、冥王星の場合、共鳴角 ϕ {\displaystyle \phi } は180°付近で振動し、82°の振幅を持つ、即ち角度は周期的に98°から262°まで変化する。 黄道深部サーベイで発見された全ての新規の冥王星族は、冥王星の平均運動共鳴と近い次の共鳴角を持つことが証明された。 ϕ = 3 ⋅ λ − 2 ⋅ λ N − ϖ {\displaystyle \phi ={\rm {3\cdot \lambda -{\rm {2\cdot \lambda _{\rm {N}}-\varpi }}}}} より一般的に、この2:3共鳴は、全てのp:(p+1)共鳴の例であり、安定軌道に至ることが証明されている。これらの共鳴角は、 ϕ = p ⋅ λ − q ⋅ λ N − ( p − q ) ⋅ ϖ {\displaystyle \phi ={\rm {p\cdot \lambda -{\rm {q\cdot \lambda _{\rm {N}}-({\rm {p-{\rm {q)\cdot \varpi }}}}}}}}} この場合、共鳴角 ϕ {\displaystyle \phi \,} の重要性は、天体が近点付近にある、即ち λ = ϖ {\displaystyle \lambda =\varpi } の時、 ϕ = q ⋅ ( ϖ − λ N ) {\displaystyle \phi =q\cdot (\varpi -\lambda _{\rm {N}})} 即ち ϕ {\displaystyle \phi \,} が天体の海王星からの近点距離を定めるということで理解できる。天体は、海王星からの近点を遠くに保つことで、摂動から守られる。
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