搭載された砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 07:26 UTC 版)
原型砲と異なり、本車用の砲の駐退復座機は内部にばねを収容した円柱状の装置を砲身と同芯式に備え、後座長は330 mmと長くなっている。角度のついたバッフルつきの砲口制退器が全ての搭載砲に見られるが、米軍ではこの装置を、砲が製造された後の追加改修によると推定している。大型の鋼板が砲尾の上面にボルト止めされているが、これは明白に砲口制退器のカウンターウェイトであると評価された。砲は単肉砲身である。原型砲および本砲は砲尾に向かって右開きの段隔螺式閉鎖機である。 尾栓は段隔螺式の一型式で、砲の右側でヒンジによって固定された。撃発機構はばね構造で、拉縄により作動して打撃する型式である。尾栓に面して直径約2インチの円筒形状の穴が開けられており、そして撃針の孔は4分の3インチの厚みで覆われている。操作用ハンドルが砲尾の直下に置かれており、弧を描いて尾栓のヒンジ上に旋回する。砲尾が開かれた際、ハンドル内部のスロットにより可動するカムが、撃針のガイドハウジングを後方へ圧縮する。これによって撃針が撃発可能状態となる。またカムにより、シアが撃針軸内部のシアノッチへと進められる。この部品は撃針を後退位置で固定し、拉縄が引かれると開放する。砲尾の右側に単一の部材でできた抽筒子が配されており、尾栓の動きとともにピボット運動を行った。 撃発機構には特徴的な機械式安全装置が組み込まれており、砲が発射中、尾栓を固定した。この安全装置は拉縄を引くことで作動し、撃針が開放された後まで位置を保持した。 米軍の調査時には主砲から照準器が取り外され、発見されなかった。ただし砲の左側、砲架と指標ドラムに0 mから4000 mまでの目盛りがつけられていた。また旋回と俯仰の操作装置は砲の左側に配されていた。米軍では、この砲は明らかに兵員1名により人力操作されると評価している。また本車の砲仰俯角は約-10〜+20度で、砲塔は全周旋回した。 砲塔の後面には、7.7 mm機銃を撤去して箱が取り付けてある。この箱は、床板をアングル材で吊った直角三角形の吊り棚を設けて、そこに交換可能な弾薬箱を直接置いた物とする解釈もある。車内の弾薬ラックには27発が収容できたが、演習弾のみが発見された。砲弾は全長が約62.9 cm、弾丸の全長は約29.8 cmで黒色に塗られ、頭部に信管を収めるための穴が設けられていた。 専用の対戦車榴弾(成形炸薬弾)の存在は不明である。砲塔後面の弾薬箱を除く車内の弾薬積載数は8発とする説がある。
※この「搭載された砲」の解説は、「短十二糎自走砲」の解説の一部です。
「搭載された砲」を含む「短十二糎自走砲」の記事については、「短十二糎自走砲」の概要を参照ください。
- 搭載された砲のページへのリンク