後議院での継続審査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 19:31 UTC 版)
先議院で可決され後議院に送付された議案については、同一会期中(延長を含む)に可決された場合はそこで成立し、修正議決された場合は先議院に回付されその同意を求める手続に入る。一方、後議院においてその会期中に議決に至ることができず閉会中審査となり後会(直後の後会のみに限らない)に継続して可決(修正議決を含む)した場合は、そこでその議案が成立(修正議決の場合は先議院に回付)するのではなく、国会法第83条の5に定められた特則により、再度先議院に当該議案を送付しそこでの可決(事実上の再可決)を経てようやく成立となる。つまり、ある議案が後議院で継続審査となった場合は、記録上先議院・後議院それぞれの審議経過・順序が消えるわけではないが、あたかも後議院が新・先議院となり、先議院が新・後議院となったかのような手順が求められることになる(したがって後議院からの議案の再移転には「回付」や「返付」ではなく本来は最初の移転にしか使わない「送付」の語を正式なものとして用いるが、口頭では事実上の表現として「再送付」「再び送付」なども使われる)。この場合、先議院(新・後議院)での審議・審査は事実上の再審議・審査となるため、後議院で新たに提起された問題点以外の、議案の趣旨説明・重複質疑等は省略して早期の採決をする例が多い。 このように、会期不継続の原則の中で特例的に認められている「閉会中審査・継続審査による議案の延命」は万能の措置ではない。他院と連続して審議しなければならない議案は、先議院の可決と後議院の議決(可決・修正議決・否決のいずれをも含む)が同一会期内に行われることが成立等の要件となり、前述のとおりそれを逃した場合はいわば先議・後議の関係のリセットが求められることになる。この「リセット」の回数に法的な制限はなく、同一議案につき、後議院で継続審議を経て可決した後、その「送付」を受けた先議院(新・後議院)でも継続審議を経て可決したためそこが新・新・先議院となり、もう一度、後議院(新・新・後議院)へ「送付」するという、いわゆる「再送付」が2回行われた実例も存在する。
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