山童と河童の渡り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/13 17:22 UTC 版)
西日本各地で、河童(かっぱ)が山に移り住んで姿を変えたのが山童(やまわろ)であるという伝承が確認されている。多くは、秋の彼岸どきに河童が山に入って山童となり、春の彼岸どきに川に戻って河童になるとされている。 熊本県 ガラッパは秋の彼岸に山に入って山童になり、春の彼岸に川に戻ってガラッパになる 熊本県球磨郡 川ん太郎と山ん太郎とは2月1日(太郎朔日 たろうついたち)に入れ替わる 熊本県水俣 ガラッパは6月1日(氷朔日)に山から川へと入れ替わる 和歌山県 ガオロは秋の彼岸に山に入ってカシャンボになり、春の彼岸に川に戻ってガオロになる 奈良県吉野 川太郎は秋の彼岸に山に入って山太郎になり、春の彼岸に川に戻って川太郎になる 民俗学者・柳田國男は「川童の渡り」という文章などで、このような河童と山童の季節による変化を、田の神(里・川)と山の神の信仰が季節ごとに変化をしたこと、また、そのとき多くの地域で鳥のような声が聴かれることから、渡り鳥などに関連した日本の季節の変化を示しているものではないかと論じている。 河童や山童は山へ行き来する際、オサキを通って集団で移動をすると言われる。河童や山童は人間がこの通り道に家を建てると怒り、壁に穴をあけてしまったりしたという。また、川に戻る山童たちを見に行こうとすると病気になると言われていた。尾先(おさき)とは、山から下ってくる地形や場所を意味しており、家を建設するのに向かない土地とされている。熊本県阿蘇郡小峰村では山童たちが移動する通り道を「通り筋」(とおりすじ)と表現している。
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