小児科領域の嘔吐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 05:26 UTC 版)
ヒトの新生児が生後48時間以内に1回程度嘔吐することはよく見られる現象である。たとえ正常な状態で産まれてきたとしても、生後48時間以内に1回の嘔吐をする新生児が過半数だと(6割から8割の新生児が1回は嘔吐するとも)いわれる。新生児の嘔吐の大半は一過性であり、多くとも数回程度で終わって嘔吐しなくなるので、治療も不要である。しかしながら、中には消化管が閉鎖しているなどの奇形、ミルクアレルギー、分娩時に脳に損傷が生じた場合などが原因である嘔吐も少数ながらあるために鑑別が重要で、原因精査が求められる。吐寫物の性状(水のようなのか、血液は混じっているか、乳汁のようなのか、など)を確認することが、鑑別の手がかりとなるため、どのような物を嘔吐したかを観察することが必要である。なお、成人では消化器の領域の感染症や潰瘍などによって起こる嘔吐が最も多いのだが、小児ではその他の疾患も鑑別に上がってくる。先天性腸閉鎖は腸回転異常でも起こるし、輪状膵でも起こりうる。これらの疾患ではその他の奇形の精査も重要となることがある。 発症時期疾患吐物画像所見出生直後 先天性食道閉鎖症 泡沫様 coil up sign 出生数時間~1週間 先天性腸閉鎖症 胆汁性 microcolon 多数のniveau 出生数時間~1週間 鎖肛 直腸体温計が入らない、倒立位撮影 出生数時間~1週間 ヒルシュスプルング病 megacolon caliber change narrow segment 出生2,3週 肥厚性幽門狭窄症 噴水状嘔吐 string sign umbrella sign showlder sign 数ヶ月~2歳 腸重積 胆汁性、黄色吐物 かにの爪、target sign
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