対振り飛車急戦用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 06:27 UTC 版)
△ 持ち駒 なし ▲ 持ち駒 なし図は▲2六飛まで対振り飛車金無双先手番 △ 持ち駒 なし ▲ 持ち駒 なし図は△6五歩まで対振り飛車金無双後手番 現代将棋では対抗型居飛車の定跡において金無双を用いる急戦策が定跡化されている。 コンピュータ将棋のponanzaが、四間飛車に対して居飛車で大住囲いに組んで急戦から持久戦まで臨機応変に仕掛ける戦術を使用して実績を上げていた。アマチュアの間では早くからこのPonanzaの戦法が研究されていた。プロ棋士の書籍では、所司和晴著『AI時代の新手法!対振り飛車金無双急戦』(マイナビ出版、2020年)がこの戦法の一部を紹介している。 昭和から平成の時期においては、金無双は相振り飛車以外ではあまり指されない時期があった。過去には対振り飛車金無双+腰掛け銀が、1958年1月5日のNHK杯、▲花村元司 vs.△升田幸三戦でみられた。 エルモ囲いの場合、舟囲い特有の寄せ手順のひとつである一段飛車から△8八X(▲2二X)同玉で6九(4一)の金が浮いて寄せられるというリスクを回避している。しかしながら、エルモ囲いの場合、△8八角成を▲同金と取ると囲いが一気に弱体化する、上部からの攻撃に弱い、伸展性がない、玉頭戦になった場合に攻撃力が低い、囲いを発展させると同時に攻めるのが難しいという弱点もあった。これに対し、大住囲いでは△8八角成を形よく▲同銀と取れる、上部からの攻撃に強い、伸展性が高い、玉頭戦になった場合の攻撃力が高い、囲いを発展させながら攻めることかできるといった利点がある。そして、居飛車の右桂を攻撃参加させる場合に▲3七桂と跳ねた後の桂頭が弱点になるため、▲2六飛など浮き飛車に構えると、従来の左銀を移動させた舟囲いでは、仕掛けた時に△4五歩から角交換の際に△8八角成を▲同玉の一手となって△4四角の王手飛車のリスクが生じるが、△8八角成(▲2二角成)に同銀と取ることが可能となる(エルモ囲いでは同金)。 急戦のみならず、持久戦への移行が可能である。この場合、囲いを高大住から松尾流穴熊へと発展させていくのが一般的であり、非常に優秀である。 こうしてその優秀さとして、居飛車舟囲い急戦と違って、飛角銀桂の理想的攻撃陣が得られ易くなっているといえる。 棒銀については角交換後の▲7一角(△3九角)の筋があるので、あまり利用されていないが、いままで居飛車舟囲い急戦で利用されてきた4六銀右戦法(△6四銀急戦)△6五歩・▲4五歩早仕掛け、ポンポン桂など、5七銀右陣形(菱型舟囲い)での戦術は、ほぼ実戦応用が可能となっている。
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