安東氏とは? わかりやすく解説

安東氏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/17 08:06 UTC 版)

安東氏(あんどううじ、あんどうし)は、日本鎌倉時代から戦国時代の末まで陸奥国出羽国の北部に勢力を張った武士の一族である。本姓安倍を称した。


注釈

  1. ^ 現地で蝦夷の管轄に従事する者への蝦夷系譜づけは沙汰職の所職自体に「国家施策上負わされた属性」であるとする見解がある。(遠藤 1976
  2. ^ 蝦夷系譜の成立について14世紀半ばを画期とする見解がある。(秦野 2012,p.149)
  3. ^ 大石直正は、安東氏(安藤氏)の性格として、北東北の海岸に分布する「党的」武士団であり、牧畜・狩猟・漁撈・交易をつかさどる、西海道松浦党にも比すべきものであると指摘している。(大石 1990)また煙山英俊は、陸奥国太平洋岸出身と推察している。(入間田 1999,p.56)
  4. ^ 『地蔵菩薩霊験記』では「往日、鎌倉ニ安藤五郎トテ武芸ニ名ヲ得タル人アリケリ。公命ニヨリ夷嶋ニ発向シ、容易夷敵ヲ亡、其貢ヲソナエサセケレバ、日ノ本将軍トソ申ケル」と安藤五郎を鎌倉武士であるとする。(秦野 2012,pp.148 - 149 等)
  5. ^ 加藤民夫は、季久 - 貞季 - 盛季と続く藤崎系(下国家)と、季長 - 宗季 - (甥)高季 - 兼季と続く大光寺系(上国家)の二家分裂を推定している。(塩谷 1982
  6. ^ 一時期、青森県の公共団体が、偽書東日流外三郡誌』の記載に基づき、安東氏の活躍を村おこしに繋げようとする試みをしたことがあるが、現在では青森県教育庁発行の報告書(『十三湊遺跡発掘調査報告書』青森県教育庁)にも「なお、一時公的な報告書や論文などでも引用されることがあった『東日流外三郡誌』については、捏造された偽書であるという評価が既に定着している。」と記載されるなど、偽書であるとの認識は一般的になっている。(青森県 2005,p.63)
  7. ^ 『秋田家系図』などによると応永年間(14世紀末期 - 15世紀初期)。
  8. ^ 史料に見える「安藤陸奥守」を康季ではなく別系統の季久流津軽安藤氏と推定する異論がある。(鈴木満 2017,p.31)
  9. ^ こちらも「奥州十三湊日之本将軍」を架空とする異論がある。(鈴木満 2017,p.32)
  10. ^ ただし前者(嘉吉2年)の年代根拠となる『新羅之記録』に関しては他の記録と一致しない点が多く、その信憑性に疑問も持たれており(「新羅之記録 現代語訳」無明舎出版 等)、夷島への没落を永享4年のみとし「下国氏十三湊還住説」は成立しないとする説もある(秦野 2012,pp.150 - 155)。
  11. ^ 佐々木慶市は、二家分裂以前には基本的に「安東」と表記した例はないことから「安藤」が本来の表記で、下国家が本家筋の上国家に対抗して「安東」と表記して「東海将軍」の官職名をそこに含意したものであると論じている。(佐々木慶市 1989
  12. ^ 道南の安東氏被官蠣崎氏の居城上ノ国勝山館では、商品としてのの精練・鍛冶や、アイヌの人びとむけの狩猟具・漁撈具の製造も行っていた。(文化庁他 2011,p.55)
  13. ^ 黒嶋敏は、幕府政所史料に見える「湊次郎」という人物に注目した上で、彼の死亡により湊家が混乱したとしている。(黒嶋 2012
  14. ^ 『壬生家文書』によると、安東氏が祖とする長髄彦が「勅勘」を蒙っていたか否かが禁中「宿老中」で問題視された、とある。
  15. ^ 黒嶋敏は、千竈氏と安藤氏の違いについて、得宗家に直結していた千竈氏に対し、安藤氏は在地性が強かったため得宗家と運命を共にせずに済んだとしている。(黒嶋 2013,pp.113-114)

出典

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  86. ^ 鈴木満 2017,p.28
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