子どもの人権侵害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 17:09 UTC 版)
子供が施設の中で人権侵害を受けているときに、子供の立場からの訴えやすさについての審議では、「今、権利ノートにはがきが付いていたりしますけれども、それが都道府県の所管課に行ったり、神奈川県のように人権審査会に行ったりしますけれども、子どもがそこでどれくらい安心しているか。ある例で言うと、はがきを出したら犯人探しが始まってしまったというところもあるのです」との問題提起がある。 厚生労働省児童部会社会的養護専門委員会において榊原委員(読売新聞記者)は児童養護施設の取材のやりづらさについて「子どもたちのプライバシーを守るという言い方で、子どもたちの利益以上のものを誰かが何かを守ろうとしていると、取材をしていると感じるようなものがあって、やはりもっと知られなければいけない実態、損なわれているいろいろな人の利益というものが、きちんと知らしめられていないと確かに思います。」とその存在の閉鎖性について発言している。 前全国児童養護施設協議会副会長・鳥取こども学園施設長・藤野興一(2014年1月現在全国児童養護施設協議会会長全国児童養護施設協議会会長)は厚生労働省児童部会社会的養護専門委員会において「施設内虐待にしろ、子どもがなかなか言えないということがあると思うのです。それは、いじめの構造でもそうです。例えば、被虐待児の耳が変形するようなひどい身体的虐待を受けてきていても、それを語れるようになるのは安全な場所に来て4年かかったという、実際はそんなものです。」「代弁者というものが必要なのです。それを誰がやるかといったら、特に被虐待児や施設に来ている子どもの場合はPTAがないし、そういう意味では施設の職員がやはり本気になって子どもの代弁者をやる必要があるのだろうと思うのです。ところが施設の実態は、皆さんがどの程度だと思っておられるかわかりませんが、本当に壮絶に近い状態だと私は思っています。」と語っている。 施設内虐待については「この手の問題を考えるときに、よく臭いものにふたをすると言いますけれど。そういう事件があると中にいる子どもが地域で言われたり、学校で言われたりして気の毒ではないか。そのように扱われているという偏見があるという理屈がありますけれども、だからといってそうした権利侵害をずっと我慢させ続けていいという理屈にはなりません。」と、数年後にもまた虐待問題を起こした施設については「構造的であるからこそ同じ施設で起きてしまった。その暴力事件を起こした施設職員を排除しても起きてしまうというのは、やはり構造的な問題に他ならないわけです。」「今まで厚生労働省から何回も施設内虐待についての通知が出て、これはまた出たかというくらい。でも全然守られていないというのは、この辺りの構造的なところに問題があるのだということを、もう一度認識するべきだと思います。」と語られている。 厚労省平成30年調査では施設入所児の65.6%は被虐待経験を持ち、ADHDは8.5%、広汎性発達障害は8.8%など何らかの問題を抱えた子供の割合が36.7%となっている。向精神薬の服用により施設内での問題行動の抑制や本人の精神安定が図られるが、本人の意に反する服薬であった場合など子どもたちの問題行動を抑制するための手段として安易に用いられることについての批判報道もある。
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