多数の私立大学の定員割れによる全入問題と進学価値問題
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「日本の高等教育」の記事における「多数の私立大学の定員割れによる全入問題と進学価値問題」の解説
「大学全入時代」も参照 日本では私立大学が増加し、学費さえ払えるのなら、一部難関大を除き、全入出来る時代となっている。受験人口が減少しているのにもかかわらず、新しい大学・学部などの設置や、私立大におせる入学定員の増加は続いている。東京学芸大学教育学部准教授の田中敬文は「私立大学・短大数は2017年時点932校あるが、定員割れが229校と約39%にも達する。また今後の本格的な18歳減少前に学校法人の17%が経営難に陥っているため、『名誉ある撤退』を日本政府が促すべき」と指摘している。2021年時点で定員割れの大学は全体の半数を占めた。 ある大学を卒業した場合の価値は金銭的な価値と非金銭的な価値に分けられる。金銭的な価値の代表が「生涯賃金の上昇」であり、大学進学しなかった場合よりも大学にかかった学費を上回る収入増があれば大学進学の価値があると判断出来る。非金銭的価値の代表は「学歴」であり、全入時代と呼ばれる以前の大学進学率が低かった時代は、大卒というだけで「いい会社に就職できる」「周囲から尊敬される」などのメリットがあったが、全入時代であるため、その大卒に金銭的価値があるかが全入時代以前より問われる時代となっている。高卒で従業員数1000人以上の大企業に就職した場合と、大学・大学院卒で従業員数10~99人の中小企業に就職した場合で見ると、大企業の高卒のほうが生涯年収は高くなっている。大企業に入社出来ないどころか、正社員になれず、奨学金の返済に苦しむレベルの大卒とならないように、大学進学以前の時点での選択が重要と指摘されている。
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