壁画の解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/27 08:20 UTC 版)
舟を死者の魂の担い手とするのが、弥生時代以来の伝統的な観念であった。本古墳の奥室左右壁に描かれた舟は、棺と思われる箱状の物を乗せている。弓、靫、鞆などの武具は、辟邪(へきじゃ)、すなわち悪霊を寄せ付けない機能をもつものである。また、同心円文は日月星辰をあらわし、他界を象徴するものである。 本古墳壁画には馬が描かれているが、考古学者の白石太一郎は馬も舟同様に魂の乗り物であると指摘した。甲元眞之は、装飾古墳において、葬送儀礼との関連で馬が描かれるのは6世紀後半のごく限られた時期であることを指摘し、「馬は魂の乗り物」という、中国北方地域にみられる葬送観念が日本に持ち込まれたものだとする。甲元は、霊屋に祈る人物の存在も合わせ、本古墳壁画は一種の葬送儀礼を表したものだとしている。
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