合理的バブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 04:38 UTC 版)
資本が黄金律を超えて蓄積されて消費が黄金律より少なくなる場合、合理的バブルが発生する可能性があり、合理的バブルが均斉成長で存続すると黄金律が達成される。そのロジックは、ダイアモンドの世代重複モデルにおける国債を合理的バブルにおきかえたものであり、次のように考える。 資本が黄金律を超えるほど余分に蓄積され、資本収益率が成長率を下まわるほど低下すると、低収益の資本に投資するぐらいならバブルに賭けてみるのが合理的になる。そうして発生する合理的バブルの収益率は資本収益率と一致する。そのわけは、バブルの収益率が資本収益率より低ければバブルを売って資本を買えば儲かるし、バブルの収益率が資本収益率より高ければ資本を売ってバブルを買えば儲かるが、こうした裁定取引が十分に行われると収益率の違いがなくなるからである。 バブルというのは、本来無用の物でありながら、ただ値上がりするから買われ、ただ買われるから値上がりする。その性質上、バブルの膨張率はそのままバブルの収益率になる。 バブルがうまい具合に存続するような均斉成長をバブル均衡という。バブル均衡でバブルは経済成長率と同じ伸び率で膨張する。 まとめると、1.資本収益率は裁定取引によりバブル収益率と一致し、2.バブル収益率は性質上バブル膨張率に一致し、3.バブル膨張率はバブル均衡で経済成長率と一致する。つまりバブル均衡で資本収益率と成長率が一致する。このことはバブル均衡が黄金律であることを示す。 この合理的バブルの理論は1985年にジャン・ティロールがエコノメトリカ誌で発表した。この理論はティロールがノーベル記念経済学賞を受賞した際、その業績の一つに数えられている
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