各団体への声
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 22:21 UTC 版)
作戦の中心となった板橋区環境保全課や上野動物園へは、矢ガモ関係で電話や手紙が殺到し、その対応だけで日常業務に支障をきたすほどであった。2月1日から11日まで、板橋区への電話は計2265本、手紙やファクシミリは175通にのぼった。2月6日は土曜日で行政機関は閉庁日であるにもかかわらず、板橋区環境保全課には日本全国から百本の電話があった。内容は激励や、計5万2000円の義援金もあったものの、多くは「何をもたもたしている」「こんな子供騙しの作戦では、いつまで経っても捕まらない」と保護をせかすもの、非難や苦情、捕獲方法の提案、現場の報道陣に対する批判などであった。当時の板橋区環境保全課係長を勤めた高田満雄は、当時のことを後に「役所生活38年で、特別な12日間だった」と振り返った。台東区にも都民や愛鳥家たちから「人間の見せ物ではないか」「本気で捕獲するなら、報道陣を引き離すべきだ」「見物人を遠ざけて捕獲すべきだ」との声が相次いだ。また、矢を射た犯人に対して「こんな酷いことを誰がやったんだ」「死刑にしろ」との怒りの声もあった。 上野動物園にも騒動開始以来ほぼ連日、保護をせかす苦情の電話や手紙が殺到した。カモの捕獲方法を延々と説明する者や、図解入りの捕獲方法をファクシミリで送る者もいた。前述のように夜行性のカモは夜のほうが活発で保護が困難にもかかわらず、それを理解せずに「鳥は夜には目が見えないから、夜に捕獲しろ」と無理な注文もあった。中には、用具持参で動物園の事務所を訪ね、捕獲方法を実演披露する者までいた。遅々として進まない対応にしびれをきらした人々から「熱心に取り組んでいない」「早く捕まえろ」「すぐそばに鳥がいるのに、何日かかっているんだ。これじゃ『不忍池』じゃなくて『死ぬはずの池』だ」などと怒りの声もとんだ。これには、板橋区では様々な作戦が行われる一方、上野動物園では当初はじっくり餌づけをしてカモの警戒心を解いた上で保護する方針だったこと、後には報道陣や見物人でカモを脅かさないように秘密裏の作戦に切り替えたという事情があった。
※この「各団体への声」の解説は、「矢ガモ」の解説の一部です。
「各団体への声」を含む「矢ガモ」の記事については、「矢ガモ」の概要を参照ください。
- 各団体への声のページへのリンク