原因・危険性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 13:37 UTC 版)
喀血の原因となる基礎疾患には、気管支拡張症(34%)・非結核性抗酸菌症(23.5%)・特発性喀血症(18.4%)・肺アスペルギルス症(13.3%)・肺結核後遺症(6.8%)・肺癌・気管支動脈つる状血管腫・気管支デュラフォイ病・活動性肺結核などがある。このうち特発性喀血症とは、特に背景となる基礎疾患を持たない喀血であり、胸部レントゲン・胸部CT・気管支鏡などを実施しても出血以外の異常を指摘できない。そのほとんどは喫煙者である。特発性喀血症は医師の間ですら認知度が低いが、喀血専門医にとってはありふれた疾患である。また気管支デュラフォイ病とは、消化器領域のデュラフォイ潰瘍、すなわち胃潰瘍底に動脈が露出しているハイリスクな出血性潰瘍に由来する病名で、気管支粘膜内に気管支動脈が突出ないし露出している大喀血のリスクが高い病態を指す。 喀血は気道出血であるため、窒息(気管・気管支閉塞)による死亡につながることがあり、呼吸器救急の最も代表的な症候の一つとされる。気道閉塞を起こすリスクは喀血量に比例し、特に空洞を伴う肺結核後遺症や肺アスペルギルス症に多いが、一方で、一般的には予後良好な特発性喀血症であっても気管内挿管を要する大量喀血も稀にみられ、油断は禁物である。大量喀血の一般的定義は24時間以内に200ml以上の喀血であるが、文献によって幅がある(100~600ml)。気管・気管支内腔の総容積が150cc程度であることを考慮し、さらに気道出血の何割を体外に喀出するかはケースバイケースであることを考えると、大量喀血の定義は、死亡率の高い(窒息率の高い)喀血を拾い上げる閾値設定という意味で、150mlを少し上回る200mlと定義するのが合理的ではないか、と岸和田リハビリテーション病院 喀血・肺循環センターでは提唱している。すなわち致死的喀血のスクリーニングとしては、400ml/day以上は適切ではない。 致死率は80%にも及ぶという報告もあるが、Kinoshitaらの論文のデータから算出すると入院喀血患者の院内死亡率は2669/28539=9.4%となる。症例数の圧倒的な多さからみてこれがもっとも妥当な数値であろう。
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