北投温泉産北投石と玉川温泉産北投石の相違点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 07:11 UTC 版)
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北投温泉産と玉川温泉産の北投石は、鉛を含む重晶石の変種ということで同じ鉱物とみなされているが、詳細に調べると、いくつかの相違点がある。 玉川温泉産の北投石はサンプル毎にBaSO4とPbSO4の比率がかなり大きい範囲で変動するのに対し、北投温泉産のそれは、ほぼ一定である。(Baのモル%は、玉川温泉産は 80 - 97%, 北投温泉産は 71 - 72% ) 玉川温泉産はBaSO4が主成分であり、ほとんど重晶石と同じであることもある(つまりPbSO4をほとんど含んでいないこともある)。 北投温泉産は常にかっ色だが、玉川温泉産は、通常のかっ色の他に、淡黄色やほとんど白色のものもある。 特に注目すべき相違点は、玉川温泉産の方が多種類の希元素を含むことである。特に放射能がラジウム系列の元素だけでなく、トリウム系列の元素にもよることである。トリウムとその放射性沈殿物の存在は化学分析と放射化学的実験から確認されている。 典型的な玉川温泉産の北投石は、北投温泉産と同じようなかっ色の多数の微斜方晶からなるが、白色とかっ色の薄い層が規則的に重なる構造が見られる。北投温泉産の方にはこのような明確な構造は見られない。 白色層とかっ色層を分離して個別に分析すると、白色層にはBaSO4とSiO2が多く、かっ色層はPbOとFeOが多かった。PbとFeは、ペンタチオン酸塩(PbS5O6, FeS5O6) の形で存在してることが、いくつかの実験から推定される。この多層構造は、季節による気温の変化や藍藻の影響によると推定される。
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