包絡環
包絡代数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:26 UTC 版)
体 k 上の任意のリー代数 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} に対し、 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} の普遍包絡代数と呼ばれるある環を関連させることができる。(PBW定理に従うと、)構成は普遍的で結論的には、 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} の表現は、 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} の普遍包絡代数の代数表現(英語版)(algebra representation)と 1 対 1 に対応する。この構成は次のようになる。 T をベクトル空間 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} のテンソル代数とする。定義により、 T = ⊕ n = 0 ∞ ⊗ 1 n g {\displaystyle T=\oplus _{n=0}^{\infty }\otimes _{1}^{n}{\mathfrak {g}}} とこの積は、 ⊗ {\displaystyle \otimes } で与えられる。 U ( g ) {\displaystyle U({\mathfrak {g}})} を元 [ x , y ] − x ⊗ y + y ⊗ x {\displaystyle [x,y]-x\otimes y+y\otimes x} により生成されるイデアルで割った商環 とする。 U ( g ) {\displaystyle U({\mathfrak {g}})} は体 k 上の結合代数であるので、交換子 [ x , y ] = x y − y x {\displaystyle [x,y]=xy-yx} ( ⊗ {\displaystyle \otimes } を省略して記載した)を通してリー代数とすることができる。リー代数には T → U ( g ) {\displaystyle T\to U({\mathfrak {g}})} をひとつのピースの次数を制限することにより標準的な射 g → U ( g ) {\displaystyle {\mathfrak {g}}\to U({\mathfrak {g}})} が存在する。PBW定理(英語版)(PBW theorem)は、標準的な射は実際、単射であることを意味している。 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} がアーベル的ならば、 U ( g ) {\displaystyle U({\mathfrak {g}})} はベクトル空間 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} の対称代数となる。 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} は随伴表現を通して自分自身の上の加群であるので、包絡代数 U ( g ) {\displaystyle U({\mathfrak {g}})} は随伴表現を拡張することで、 g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} -加群となる。しかし、左と右の正則表現を使い、包絡代数を g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} -加群とすることができる。つまり、記法 l x ( y ) = x y , x ∈ g , y ∈ U ( g ) {\displaystyle l_{x}(y)=xy,x\in {\mathfrak {g}},y\in U({\mathfrak {g}})} により、写像 x ↦ l x {\displaystyle x\mapsto l_{x}} は U ( g ) {\displaystyle U({\mathfrak {g}})} の上の g {\displaystyle {\mathfrak {g}}} の表現を定義する。右正則表現も同様に定義される。
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