バッハ:前奏曲(幻想曲) ハ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:前奏曲(幻想曲) ハ短調 | Praeludium (Fantasie) c-Moll BWV 921 | 作曲年: 1707-13年 |
作品解説
「アンドレーアス・バッハ本」、すなわちバッハの兄ヨハン・クリストフの楽譜帖に含まれている。バッハの真作であるかどうか議論の余地があるが、最後の3小節は紛れもなくバッハの筆跡である。
楽曲には、若きバッハの演奏者としての情熱が漲っている。現代では超人的な技巧の持ち主に対し、驚嘆(場合によっては一抹の侮蔑)を込めてヴィルウオーゾと賞賛する。フォルケルが伝えるところでは、バッハ自身はこの種の「なにを弾くべきかを指に指示するのではなく、指から教わるタイプ」の曲芸人を「クラヴィーア軽騎兵」と呼んだ。「前奏曲」とのタイトルを持つが、バッハの他の前奏曲には類似する書法・様式はみられない。
全体は5つの部分から成り、それぞれ拍子や基本となるリズムが異なっている。動機やリズム自体はきわめて単純で、ひたすらに反復される。そのため、細かい動機でどれほどの変奏、どのような和声進行できるのか、その可能性をカタログにしたような印象さえ受ける。
しかしこの曲には、動機労作や対位法技法からは得られない、聴く者をトランス状態に引き込む強い力が備わっている。現代のピアノにはさらに音色の追究の余地が残されており、バッハの異色の作品として取り組む価値は充分にあるだろう。
バッハ:前奏曲 ハ短調
「前奏曲 ハ短調」の例文・使い方・用例・文例
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