刑罰から治療へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/28 08:34 UTC 版)
国際的には、刑罰ではなく依存症の治療を提供する政策が主流である。 日本は、覚せい剤乱用が50年も続いている世界的に稀有な国である。日本では、薬物依存症が治療されないため覚醒剤に関した薬物犯罪は、男子62.1%といった高い再犯率を維持し、さらには治療よりも司法のほうが大きな費用がかかるともされている。日本の標準的な精神科医にとっては、覚醒剤によって生じる状態でよく理解されているのは精神症状を呈した場合のみであり、その根本にある依存症を専門とする者は少なく、入院対応できる医療機関は限られ、以前は外来の治療プログラムとなると皆無であるといった状態であった。 日本では薬物依存症になった者は、民間の回復施設などを利用する以外に治療という選択肢がない状況にあり、薬物犯罪の刑を一部執行猶予する法案が通ったこともあって、治療体制と治療プログラムの整備が求められていた。2015年には、それまでの8都県だった治療プログラムの提供施設を、日本全国69カ所の精神保健福祉センターに拡大することを決定した。2016年ごろから刑期の1/3などを執行猶予とし、SMARPPの治療プログラムを受けるといった流れができてきた。 平成28年度の診療報酬改定にて、SMARPPは依存症集団療法として診療報酬加算が認められた。これは研究の成果に基づいている。平成22年から24年度の計3年間の厚生労働科学研究班「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」である。
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