凍空に太陽三個死は一個
作 者 | |
季 語 | |
季 節 | 冬 |
出 典 | 雲づくり |
前 書 | |
評 言 | 八木原祐計抄出の追悼「阪口涯子五十句」には 北風列車その乗客の烏とぼく 燃えろかんてき妻とはこんなに荒れた指か れんぎょう雪やなぎあんたんとして髪だ からすはキリスト青の彼方に煙る これらの句と共に静かに「凍空」の句は眠っていた。 「太陽三個」とは「 この凍空の句は、句集『雲づくり』に二部構成の形で、前編62句の後に、朱氏「冬旅」私版としてシューベルトの歌曲集『冬の旅』をモチーフとした8句で、掲句凍空の句のみ文字のポイントを18・14・10.5ポイントと変化させながら、太陽三個が徐々に消えてゆくように3回表現し、句に段落を付け、高柳重信の多行形式とは異なる、8句を通しての涯子氏の内奥を開示するような、まさに涯子ワールドである。最後に雰囲気だけでもここで紹介したい。 Schubert/Die Winterreise—meine kleine— 朱氏「冬旅」私版 凍空に太陽三個死は一個 瞳光り凍る都会を映したる 凍窓に花描きしをあざけるや 凍空に太陽三個死は一個 流氷あり一樹ありかぐわしきかな 半開のみどりの蝶の夢みたる 夜の壁にライエルマンは還らざる 鬼火もゆ悲痛は墓へ川は海へ 紺の館紺の弔旗が憩えとよ 凍空に太陽三個死は一個 |
評 者 | |
備 考 |
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