凍空に太陽三個死は一個とは? わかりやすく解説

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凍空に太陽三個死は一個

作 者
季 語
季 節
冬 
出 典
づくり 
前 書
 
評 言
 海程平成元年十二月号(258号)に、追悼阪口涯子掲載された。前号257号より「海程」へ遅れて参加した私は、残念ながら涯子氏の謦咳に接することは出来なかったが、その句の洗練された調べ立ち姿美しさ驚かされた。
 八木原祐計抄出追悼阪口涯子五十句」には
   北風列車その乗客の烏とぼく
   燃えろかんてき妻とはこんなに荒れた指か
   れんぎょう雪やなぎあんたんとして髪だ
   からすはキリスト青の彼方に煙る
 これらの句と共に静かに凍空」の句は眠っていた。
 「太陽三個」とは「幻日げんじつと言う珍しい気象現象で、あたかも太陽三つ在るかのように太陽左右に光の点(塊)が現れる大気高層にある氷晶作る気象光学現象であり、私の住む北海道東部では、まさに凍空に自然の恩恵のように数年一度現れる珍しい現象である。その「幻日」を直截的に「太陽三個と言い切った表現新鮮な詩情感じそれぞれの「死」そのものを「一個」と完結させた強靱言葉の力知らされた。
 この凍空の句は、句集づくり』に二部構成の形で、前編62句の後に、朱氏「冬旅」私版としてシューベルトの歌曲集『冬の旅』をモチーフとした8句で、掲句凍空の句のみ文字ポイント18・14・10.5ポイント変化させながら、太陽三個徐々に消えてゆくように3回表現し、句に段落付け高柳重信の多行形式とは異なる、8句を通しての涯子氏の内奥開示するような、まさに涯子ワールドである。最後に雰囲気だけでもここで紹介したい

 Schubert/Die Winterreise—meine kleine—
 朱氏「冬旅」私版

  凍空に太陽三個死は一個
  瞳光り凍る都会映した
  凍窓に花描きしをあざける
          凍空に太陽三個死は一個
      流氷あり一樹ありかぐわしきかな
      半開みどりの蝶の夢みたる
  夜の壁にライエルマンは還らざる
  鬼火もゆ悲痛は墓へ川は海へ
  紺の館紺の弔旗が憩えとよ
               凍空に太陽三個死は一個


 
評 者
備 考
 



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