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げしゅく 0 【下宿】
したやど 【下宿】
物語要素事典 |
下宿
『こころ』(夏目漱石) 日清戦争が終わった頃、大学生であった「先生」は、戦争未亡人の家に下宿する。その家の一人娘であるお嬢さんに、「先生」は恋心を抱く。「先生」は、親友Kが経済的に困窮しているのを見かね、自室の隣にKを住まわせる。ところが、Kもお嬢さんに恋をしてしまったので、「先生」はKを出し抜いて、いそいでお嬢さんと婚約する。Kは、「先生」とお嬢さんの婚約を知らされてから三日ほど後に自殺する。
『破戒』(島崎藤村) 瀬川丑松は、下宿先蓮華寺の養女・志保に思いをよせる。丑松がその出自ゆえに町を追われても、志保は丑松と将来をともにしようとする。
『氷点』(三浦綾子)「ねむり」 太平洋戦争末期、北大理学部の学生・中川光夫は、下宿先の人妻三井恵子と恋愛関係になる。終戦を迎え、恵子の夫が復員する直前に恵子は妊娠するが、出産の半月前に中川光夫は心臓麻痺で急死する。生まれた女児は医師辻口家の養女となり、陽子と名づけられる。
★1b.青年が、親類・縁者の家に寄宿し、その家の娘に恋をする。
『浮雲』(二葉亭四迷) 内海文三は叔父の家に寄宿し、苦学して下級官吏となる。二十三歳の文三は従妹のお勢と恋仲になり、叔母お政も二人を結婚させる心積もりである。しかし役所の人員整理で文三が免職されるやいなや、お政は態度を一変させて文三に辛く当たり、お勢は、文三の同僚で世渡り上手な本田昇に心を移す。
『金色夜叉』(尾崎紅葉) 間貫一は幼くして母を、十五歳にして父を失った。かつて貫一の父から恩を受けた鴫沢隆三が、貫一を引き取り、世話をして、十年が過ぎる。貫一は鴫沢家の一人娘お宮と許婚(いいなずけ)になるが、お宮は貫一を捨て、金満家・富山唯継と結婚する。
*大学生の勉は秋山家に寄宿するが、秋山の妻・道子と勉は、従姉弟どうしの関係であった→〔地名〕5の『武蔵野夫人』(大岡昇平)。
『悪魔』『続悪魔』(谷崎潤一郎) 大学生の佐伯は、叔母とその娘照子の住む家に寄宿する。神経衰弱気味の佐伯は、肉感的な照子の存在に心乱れる。一方、住み込みの書生・鈴木は、「自分が照子の許婚だ」と思っており、佐伯が照子に近づかぬよう、けん制する。しかし佐伯は照子に誘惑されて、関係を持ってしまう。鈴木は、「復讐する」との書き置きを残して姿を消す。翌晩、庭先に忍び込んだ鈴木によって、佐伯は刃物で喉をえぐられ、殺される。
『灰燼』(森鴎外) 山口節蔵は、父と古い縁故のある谷田家に書生として寄宿する。節蔵は、谷田家の一人娘お種と関係を持ち、妊娠させて捨てる。谷田家では、ただちにお種に婿養子を取る。月足らずで女児が生まれるが、それは節蔵の子である〔*『灰燼』は未完の小説である。冒頭部分、書生時代から八~九年を経て、節蔵が谷田家の主人の葬儀に参列し、お種が怒りの目で節蔵を見た、とあることなどから、以上のような関係が想定できる〕。
『下宿人』(ヒッチコック) 謎の殺人鬼による金髪美女連続殺人事件が、世間を騒がせている頃。老夫婦の営む下宿屋に、一人の青年が下宿する。青年は、下宿屋の一人娘デイジーと仲良くなるが、深夜の外出など不審な行動が多いので、殺人鬼と見なされ逮捕される。実は青年の妹も殺人鬼に殺されたのであり、青年は妹の仇を討つために、殺人鬼を追っていたのだった。真犯人がつかまって青年の疑いは晴れ、青年とデイジーは、めでたく結ばれる。
★2.近世の、商家に住みこみで働く男が主人の妹や娘と恋仲になる物語が、下宿の恋の原型であろう。
『おせつ徳三郎』(落語) 大店の一人娘おせつと奉公人徳三郎が、人目をしのぶ仲となる。主人がこれを知って、徳三郎に暇を出し、おせつに婿を取る。おせつと徳三郎は心中しようと、「南無妙法蓮華経」とお題目を唱え、深川の木場の橋から飛びこむ。しかし下は筏で二人は死なず、「お材木(お題目)で助かった」と言う〔*落ちは→〔宿〕3cの『鰍沢』と同じ〕。
『好色五人女』巻1「姿姫路清十郎物語」 但馬屋の手代・清十郎は、主人の妹お夏と恋仲になり駆落ちする。しかし捕えられ、清十郎は小判紛失の濡れ衣を着せられて、処刑される。お夏は清十郎の刑死を知って乱心し、「向かい通るは清十郎じゃないか。笠がよく似た、すげ笠が」と歌ってけらけら笑い、さまよい歩いた。
『春琴抄』(谷崎潤一郎) 大阪道修町の薬種商・鵙屋の娘春琴は、天保八年(1837)、九歳の時に失明した。その年丁稚として奉公に上がった十三歳の佐助が、春琴の身の回りの世話をし、後には、春琴を師匠として琴・三味線を習得した。二人の間には子供もできたが、春琴は佐助との仲を否定し、子供は里子に出した。
『新版歌祭文』 油屋の一人娘お染は、丁稚・久松と関係を結ぶ。お染は久松の子を宿して、すでに五ヵ月になる。お染は山家屋へ嫁入りせねばならず、婚礼の日が迫って来るので、大晦日の夜にお染と久松は心中する。
★3.厄介な下宿人たち。
『家族の肖像』(ヴィスコンティ) 初老の教授が広いアパルトマンに、家政婦を置いて住んでいる。実業家夫人ビアンカがアパルトマンの二階部分を借り、左翼の活動家青年コンラッド、夫人の娘リエッタ、その恋人ステーファノが、出入りする。彼らは勝手に二階を改装する。コンラッドは夫人の愛人でありながら、娘リエッタとも関係を持つ。教授は彼らを嫌いつつ、いつしか彼らに「家族」を感じる。しかし夫人とコンラッドは口論して別れ、皆、教授のもとを去る。何日か後、コンラッドは二階へ戻って来て爆死する。リエッタが「自殺じゃなくて殺されたのよ」と言う。以後、教授は病床に臥す。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/06/29 23:56 UTC 版)
下宿(げしゅく)とは、旅館業法における営業形態の一つで、施設を設けて一ヶ月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させる営業(旅館業法2条5項)。一般的には月極めの契約で部屋を間借りさせること、また、そのための建物や部屋といった施設そのものを指す場合をいう。
- 1 下宿とは
- 2 下宿の概要
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