ライコニク (路面電車車両)とは? わかりやすく解説

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ライコニク (路面電車車両)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/19 06:31 UTC 版)

タンゴドイツ語版 > ライコニク (路面電車車両)
"ライコニク"
"ライコニク"(844)
2021年撮影)
基本情報
製造所 シュタッドラー・レール
製造年 2019年 - 2023年
製造数 110両
運用開始 2020年
投入先 クラクフ市電ポーランド語版
主要諸元
編成 3車体連接車、片運転台
軸配置 Bo'2'2'Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
設計最高速度 70 km/h
起動加速度 1.1 m/s2
車両定員 着席82人
立席139人
折り畳み座席1人分
全長 33,400 mm
全幅 2,400 mm
全高 3,600 mm
床面高さ 370 mm
300 mm(乗降扉付近)
480 mm(台車上部)
(低床率100 %)
車輪径 600 mm
固定軸距 1,800 mm
出力 675 kw
定格出力 420 kw
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6]に基づく。
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ライコニクポーランド語: Lajkonik)は、ポーランドクラクフ路面電車であるクラクフ市電ポーランド語版で使用されている車両の愛称。スイスシュタッドラー・レールが製造を手掛けた超低床電車で、2020年から営業運転に投入されている[1][2][3]

概要

2018年シュタッドラー・レールのポーランドの子会社であるシュタッドラー・ポルスカ(Stadler Polska)は、ソラリスとコンソーシアムを組み[注釈 1]、クラクフ市電を運営するクラクフ市交通会社ポーランド語版との間に新型路面電車製造に関する契約を結んだ。これは老朽化した旧型電車の置き換えを目的としたもので、この契約に基づいてシュタッドラー・レールが開発したのが「ライコニク」である[1][2][3]

「ライコニク」は、シュタッドラー・レールが世界各地に展開する路面電車・ライトレール向け車両ブランドのタンゴドイツ語版(Tango)の1形式で、全長33.4 m、幅2.4 mの片運転台式3車体連接車である。前後車体の動力台車、中間車体の付随台車は共に回転軸を有しており、台車上部の床上高さが高くなっているが、スロープを用いることで車内の段差を無くしている。これらの台車は独自のフレーム構造が採用されており、部品の摩耗や走行中の振動が軽減されている。また、充電池を用いて架線から電気が供給されていない状態でも最長3 kmの距離が走行する事が可能となっている。制動装置には回生ブレーキが用いられており、消費電力の削減が図られている[1][2][3][4][6]

車内には冷暖房双方に対応した空調装置(HVAC)やUSBポート、安全対策用の監視カメラ、音声やスクリーンを用いた情報案内装置が設置されている。また、前方車体には車椅子用のフリースペースと1人分の折り畳み座席が存在する。名称の由来となった、木馬に乗りタタール人の服や帽子を被る男というモチーフは、車体や座席など各所に描かれている[1][3]

運用

2018年、最初に契約が結ばれたのは35両で、その際にオプション分として発注された15両についても翌2019年1月に正式な発注が行われた。これらの契約に基づいた車両は同年からクラクフ市電への納入が始まり、2020年6月18日から営業運転を開始している[2][3][6]

その後、更なる旧型車両、特にバリアフリーに不向きな高床式車両の完全置き換えを目的に、2020年に60両の追加発注が実施された[注釈 2]。これらの車両は「ライコニク2(Lajkoniki II)」とも呼ばれ、車内のフリースペースの拡大を始めとした一部の設計変更が行われており、2022年から2023年にかけてクラクフ市電へ納入されている。この全110両の「ライコニク」のうち、80両はノワ・フタ車庫ポーランド語版、30両はポドグジェ車庫ポーランド語版に在籍する[4][5][6][7][8][9][10]

脚注

注釈

  1. ^ ソラリスの路面電車事業はコンソーシアム締結後にシュタッドラー・ポルスカへ吸収されている。
  2. ^ この新型車両発注に関しては2019年に入札が行われたが、参加したのはシュタッドラー・ポルスカのみであった。

出典

  1. ^ a b c d e TRAM TANGO KRAKÓW «Lajkonik» Miejskie Przedsiębiorstwo Komunikacyjne SA, Cracow, Poland”. Stadler Polska Sp. z o.o.. 2023年9月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e Wagon Stadler Tango - Lajkonik”. Miejskie Przedsiębiorstwo Komunikacyjne S.A. w Krakowie. 2023年9月11日閲覧。
  3. ^ a b c d e f First Stadler “Lajkonik” tram delivered to Krakow – tender for 60 further trams under preparation”. Urban Transport Magazine (2019年12月15日). 2023年9月11日閲覧。
  4. ^ a b c Stadler delivers further trams to Cracow/ Kraków”. Urban Transport Magazine (2020年4月30日). 2023年9月11日閲覧。
  5. ^ a b Witold Urbanowicz (2019年9月17日). “MPK Kraków z jedną ofertą na 60 tramwajów. Tylko Stadler”. Transport Publiczny. 2023年9月11日閲覧。
  6. ^ a b c d Kraków orders additional Stadler LRVs”. RailwayPro (2020年4月30日). 2023年9月11日閲覧。
  7. ^ Kolejny nowy Lajkonik w Krakowie”. Miejskie Przedsiębiorstwo Komunikacyjne S.A. w Krakowie (2022年10月14日). 2023年9月11日閲覧。
  8. ^ MPK Kraków ma już 20 nowych Lajkoników”. Transport Publiczny (2023年5月4日). 2023年9月11日閲覧。
  9. ^ Michael Levy (2022年11月29日). “MPK Kraków renew fleet with new and used trams”. Urban Transport Magazine. 2023年9月11日閲覧。
  10. ^ Libor Hinčica (2023年10月18日). “Stadler dokončil dodávku tramvají do Krakova. Lajkoniků je 110”. Československý Dopravák. 2023年10月19日閲覧。



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