ビートの分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 21:19 UTC 版)
「強拍」「弱拍」という言葉につられるせいか、「強拍は音の強い拍」「弱拍は音の弱い拍」という説明を(専門書でさえも)見かけるが、これは誤解を招きやすい表現である。実際の音楽ではむしろ、弱拍に強拍よりも強い音が置かれることが多いからである。その顕著なものはジャズのフォービート、ロックやポップスのエイトビート、シックスティーンビートであって、4拍子の2拍目と4拍目に強勢が来るが、それらは決して「強拍」ではない(バックビート参照)。 英語のdown beat、ドイツ語のAbtakt(いずれも強拍のことだが、下向きの拍の意味である)やup beat、Auftakt(上向きの拍のことで弱拍のこと)のほうがこれらの概念に近い。舞踊におけるステップの重軽は本質に近い。実際の音楽では、伴奏音形において低い音が強拍に当たることが多い。 上記の2つは相反する立場から語られるため別々に独立した概念であるが、しかし双方とも共通する事柄が有る。近年のコンピュータを用いた研究により、強拍と弱拍は微妙に長さが違うことが肉眼で確認できることが証明された。この違いをメトロノーム記号で厳密にコントロールする作曲家も20世紀後半から増え始める。近藤譲はMM96から93へといったテンポチェンジを行うが、本人の説明では「ムードチェンジ」と言っている。カールハインツ・シュトックハウゼンも、テンポの半音階といった概念は、これら強拍と弱拍の微妙な差異のコントロールが源泉であることを語っている。
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