パートン分布関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 02:18 UTC 版)
いわゆる「共線因子分解」の範囲内でのパートン分布関数はある縦運動量逆数 x に分解能スケール Q2 で粒子を見出す確率密度関数により定義される。パートンの自由粒子として観測できないという固有の非摂動的性質により、パートン密度は摂動的 QCD により完全に得ることはできない。しかし、 QCD の範囲内では、パートン密度の変化を外部プローブにより提供される分解能スケールにおいて調査することができる。このスケールはたとえば仮想性 Q2 の仮想光子またはジェットにより提供される。現在の格子 QCD 計算の限界のため、既知のパートン分布関数は代わりに実験データに可観測量をフィッティングして得られている。 実験的に決定されたパートン分布関数は世界中の様々な研究グループが公開している。主な無偏極データセットには以下のようなものがある。 ABM - S. Alekhin, J. Bluemlein, S. Moch による CTEQ -CTEQ コラボレーションによる GRV/GJR - M. Glück, P. Jimenez-Delgado, E. Reya, A. Vogt による HERA PDFs - ドイツ電子シンクロトロンセンター(DESY)の H1 および ZEUS コラボレーションによる MRST/MSTW - A. D. Martin, R. G. Roberts, W. J. Stirling, R. S. Thorne, G. Watt による NNPDF - NNPDF コラボレーションによる LHAPDF ライブラリは主要なPDFセット全てに対応する使いやすい Fortran/C++ インターフェースを提供している。 「一般化パートン分布関数 (GPDF)」 は、パートン分布関数の変数に横運動量やパートンのスピンなどの変数を付け加えてハドロンの構造をよりよく理解しようという新しいアプローチである。古い名前として "non-forward", "non-diagonal", "skewed" パートン分布関数とも呼ばれていたことがある。これらは、終状態で全ての粒子が検知される閉鎖プロセスにより得ることができる。一般化パートン分布関数の追加変数をゼロとすること (forward limit) により通常のパートン分布関数を得ることができる。他のルールからは電気形状因子(英語版)や磁気形状因子(英語版)、さらにはエネルギー運動量テンソルにかかわる形状因子がGPDFに含まれていることが示される。ハドロン内部のパートンの完全3次元像もGPDFから得ることができる。
※この「パートン分布関数」の解説は、「パートン」の解説の一部です。
「パートン分布関数」を含む「パートン」の記事については、「パートン」の概要を参照ください。
- パートン分布関数のページへのリンク