ナポレオンとタングラム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 14:23 UTC 版)
「タングラム」の記事における「ナポレオンとタングラム」の解説
タングラムを遊んでいたとされる19世紀の欧米の著名人は何人かいる。ナポレオン・ボナパルトもその1人だが、彼が本当にタングラムで遊んでいたか疑わしい部分があった。理由として以下のようなものが存在する。 ヨーロッパでブームが起きたのは1820年ごろであり、ナポレオンの没年と非常に近い。このため離島にいるナポレオンの存命中にこの遊びの情報が伝わらなかった可能性がある。 ナポレオンの日記にチェスやバックギャモンの話題はあるがタングラムに関する話題が残っていない。 ナポレオンが遊んでいたと考えられる根拠としては以下のようなものがあったが、いずれも遊んでいた可能性があることを示すだけで確実な根拠ではない。 当時のセントヘレナ島は中国との貿易船の中継地だったため、ヨーロッパで広まる前にナポレオンがタングラムを入手していた可能性がある。 ナポレオンは数学を嗜んでいたため、幾何学的なこの遊びに興味を引かれた可能性は高い。 他の根拠として、1817年に出版されたタングラムの本に「ナポレオンがこの遊びを楽しんでいる」という記述があるが、これも事実かどうかは不明である。 これらの理由から、マーティン・ガードナーのようにナポレオンは遊んでいなかったと結論付ける人もいた。 オーストリアの外交官 Barthélémi de Stürmer(en)は、クレメンス・フォン・メッテルニヒに宛てた私信の中で「独創的な中国の遊び」について言及している。このことから、この時点でセントヘレナにタングラムが存在していたことがわかる。20世紀末の調査の結果、マルメゾン城のナポレオンの遺物のコレクションの中に象牙製のタングラムと問題集があるのが確認された。これにより、ナポレオンがタングラムで遊んだことがあることが証明された。ただし、この調査にも携わったジェリー・スローカムは、「タングラムを所持していたのは間違いないが、それはお気に入りの娯楽ではなかった」としている。
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